【スキンケア】
劇的な進化を遂げる化粧品で、安全かつ効率よく肌の構造を立て直す
たるみケアで目指すのは「たるみのない美肌」。スキンケアなくしては叶いません。今、肌悩みに対応する化粧品に、以前より手ごたえを感じることが増えているはずです。肌老化のメカニズムの解明が急速に進んでいる事実が、その背景にありました。
【美容・医療ジャーナリスト 海野由利子さんがレポート】
エイジングした肌の状態を微細に観察・分析が可能に
これはいい! と感じるスキンケアには、秘密が潜んでいるものです。それは、ニュースや広告でなかなか知らされない“皮膚科学研究”という背景。
たるみばかりに目を向けて、“たるんでいないけど乾燥肌”という状態は避けたいもの。日々の美肌ケアにも力を入れて相乗効果を狙いましょう。
国際学会で多くの受賞歴を持つ資生堂の研究員、江連智暢さんに最新の肌に関する知見を伺いました。
「肌の弾力にかかわるのは真皮の線維芽細胞ですが、以前はよくわかっていませんでした。詳細に観察できる機器がなかったからです」。2000年代に入ると機器が進化して、皮膚の深部や幹細胞の研究が盛んになったそう。
「2018年からは医療用の機器を使った外部との共同研究で、皮膚内部の微細な構造を3Dで観察しています。切り出した皮膚を顕微鏡で観察する2D観察と違い、生体内に存在する状態でわかるようになったのが研究のブレイクスルーとなっています」
3D観察で発見されたのは、老化した線維芽細胞は変形すること(下表参照)。
老化した線維芽細胞は変形することを発見。皮膚内に滞留して「老化因子」を発生させ、コラーゲンの分解を促すなど、さまざまに悪影響を及ぼし老化を連鎖させることがわかった。資料/資生堂若い細胞には多くの突起があって周囲のコラーゲンに引っかかりやすそうな形をしていますが、老化した細胞からは突起が消失。皮膚内に滞留し「老化因子」を発生させてコラーゲンの分解を促すなど、周りに悪影響を与えることが解明されました。
「さらに真皮の皮脂腺の周りには、皮膚の幹細胞が集まっています。この細胞は老化した線維芽細胞の悪影響を止めることがわかりましたので、これを可能にする成分の探索へと進んでいます」。
別の研究では、たるみのある皮膚は真皮の深い部分に空洞ができ、皮下脂肪が入り込んでいることを発見(下表参照)。真皮の構造が軟弱になり、たるみが進行する原因が解明されました。
真皮が空洞化している部位に柔らかい皮下脂肪が入り込むため、真皮の構造が軟弱になりたるみが進行する。空洞化の原因は汗腺の著しい委縮であることを世界で初めて発見。資料/資生堂「解決法を広い視野で探っています。皮膚は重要な臓器で、多彩なシステムを備えています。このシステムをうまく利用することが効果的なスキンケアにつながっていくと考えます。安全かつ、毎日行えるスキンケアは、大変効率のよいアンチエイジングなのです」
資生堂 グローバルイノベーションセンター フェロー
江連智暢さん
アンチエイジング領域の研究開発を行い、化粧品技術者の世界大会(IFSCC)で世界初の3大会連続最優秀賞を受賞。近著は『あたらしいアンチエイジングスキンケア』(日刊工業新聞社)。美と健康を大切にするかたには必読の一冊。皮膚科学研究に基づいた先進美容液&クリーム
毎日のお手入れでも、たるみを解決できれば──
私たちの願いに応えるべく化粧品メーカーが最新の知見を盛り込んで登場させた美容液とクリームをご紹介。使い続けるほどに、弾むような手ごたえを感じられるはず。
【SHISEIDO バイタルパーフェクション UL ファーミング クリーム エンリッチド(医薬部外品)】
実感の高い高機能クリームで大人の肌悩みをクリアに皮膚研究のトップランナー資生堂の提案は、ハリと明るさを同時に叶えること。シルクのように繊細なクリーム。50g 1万3000円/SHISEIDO
【AQ セラム アブソリュート】
肌を曇らせる影まで引き締め“輪郭美”をもたらすたるみを引き起こす要因を一つ一つ解消し、皮膚の各層へのアプローチで立体的な輪郭美を取り戻す高機能美容液。50ml 2万5000円/コスメデコルテ
【リンクルショット ジオ セラム(医薬部外品)】
肌の“土台”をしなやかにし、未来のエイジングを防ぐシワ改善で大ヒット中のシリーズから、真皮下層部にしなやかな柔軟性を与える美容液が登場。弾力のある肌は、結果シワになりにくく。40g 1万円/ポーラ
【リニュートリィブ ダイヤモンド デュアル セラム N】
パワフルに肌を育みながらくっきりと立体感をもたらす加齢によりゆがんだ細胞がたるみを生じさせている事実に着目。細胞の形に関する長寿遺伝子に働きかけ若々しさを保つ。30ml 4万9000円/エスティ ローダー
撮影/富田眞光〈vale.〉、西原秀岳 ヘア&メイク/山本浩未〈steam.〉 スタイリング/松田綾子〈オフィス・ドゥーエ〉(人物)、高橋尚美(静物) モデル/松田珠希 取材・文/海野由利子
『家庭画報』2020年4月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。