金メダルはゴールではなく、スタートです
2019年、新しい日めくりカレンダーを出したとき、僕は東京2020大会への思いが強かったので、金メダルという言葉をいくつか入れたのですが、その一つが「金メダルはゴールじゃない」というものでした。
ここでいう金メダルは志望校に合格することや就職、結婚等も含まれますが、金メダルというものは獲ってからのほうがずっと大変ではないかと思うのです。
それは、せっかく頑張った功績が全部重荷になってしまう可能性があるからなのですが、金メダルを獲得したことで生まれる巨大なプレッシャーは、現役時代はもちろん、引退後もついて回るもの。それを苦しいと感じることもあるでしょう。
でも、「金メダルを獲ってからがスタート」という気構えでいれば、山下さんのように過去にとらわれることなく、「周囲の期待どおりに生きたいという気持ちはないんですよ」と笑って言えるようになり、きっとそうした苦しみからも抜け出せます。
そして、「金メダル」が重荷ではなく、真の意味での自信になってくれるはずです。
もう一つ、金メダルについて思うのはもう一つ、僕が金メダルについて思うのは、この東京2020オリンピック・パラリンピックで、みんなが心の金メダルを獲れれば最高！ということです。
ボランティアの人も、一般の人もみんな。失敗しても、うまくいかないことがあっても、本気で努力をしたなら、僕は全員、金メダリストだと思っています！
コラムの締めは毎回、僕のメッセージを凝縮した一文字の書。“心”がすべての根っこにある！という思いをもとに書いています。第14回は「オリンピーク心」。日本代表の選手たちが東京2020大会にピークを合わせられることを祈っています！松岡 修造 SHUZO MATSUOKA
1967年東京都生まれ。86年にプロテニス選手に。95年ウィンブルドンでベスト8入りを果たすなど世界で活躍。現在は日本テニス協会理事兼強化本部副本部長として、ジュニア選手の育成とテニス界の発展に尽力する一方、テレビ朝日『報道ステーション』、同『TOKYO応援宣言』、フジテレビ『くいしん坊！万才』などに出演中。近著に日めくり『まいにち、新・修造！』。東京2020オリンピック日本代表選手団公式応援団長としても活動中。
公式サイト>>撮影／鍋島徳恭 スタイリング／中原正登〈FOURTEEN〉（松岡さん） ヘア＆メイク／大和田一美〈APREA〉 取材・文／清水千佳子 撮影協力／日本オリンピック委員会 衣装協力／紳士服コナカ
