「痛み日記」を記録して天気と不調の関係を自覚する
「患者さんは自分で変えることのできない天気の影響を強く受けているため、天気痛を治すことをあきらめている人がほとんどです」と佐藤先生は明かします。
このような状況の中、日常生活において天気の影響をできるだけ取り除くことを目指して治療は開始されます。
最初のステップとして患者に取り組んでもらうのが「痛み日記」の記録です。天気と気圧の変化が自分の体調や症状にどのように関係しているのかを1か月ほど観察し、痛みの原因が天気であることを認識してもらうのが狙いです。
「患者さんは医療機関を受診しても診断がつかず“気のせい”といわれたり、まわりから怠けていると誤解されたりして結構つらい思いをしているので、原因がわかっただけで安心して症状が軽くなる人もいます」。
天気痛の予防対策に取り組むことで自信を回復し治療への意欲を高める
次のステップとして行うのは天気痛の症状が起きないようにすることです。
患者は、センサーとなる内耳が気圧の変動に過剰に反応しないように抗めまい薬を予防的に服用し、内耳の血行を改善したり前庭神経の興奮を抑制したりします。
「リンパ液の循環がよくなる五苓散(ごれいさん)や柴苓湯(さいれいとう)などの漢方薬も内耳の状態を整えるのに効果的です」。
また、佐藤先生は薬以外の対処法として、耳のまわりをほぐして血行や水分代謝をよくする“くるくる耳マッサージ”を考案し、これを推奨しています。
「これらの方法で内耳の状態をコントロールし、天気痛を予防することができれば症状の軽減だけでなく、“うまく対処できた”という自信を持つことにもつながり、治療に対して前向きかつ積極的に取り組めるようになります」。