原田ヒサ子さん。映画の中には、原田美枝子さんの娘・優河さんに、女優としての自身の人生を語るヒサ子さんの姿も映し出されている。 ——原田さんの話を聞くと、元気なうちにちゃんと話を聞いておかなければと思います。 「写真を見るだけでもね。だって、想像もしないでしょ? 親の若い頃とか。私は、親が子供を愛したり、大切にしたり、心配したりするのは当たり前でしょっていう生き方をしてきちゃったので、ホントにごめんなさいって感じなんですよね。うちの父の写真なんかも、あんな格好いい時代があったんだ、と思って。また昔の写真館で撮った写真の味のあること。丁寧に1枚の写真を撮るわけじゃないですか。エネルギー量が今とは違いますよね。ずっと映像の仕事をしてきて、1枚の写真が語るよさを改めて感じました」
——本作を制作することで、映像の力を再確認したともおっしゃってますね。 「私は単純に、1カット撮ればいい、ぐらいな感じだったんです。ところが映してみたら、実に格好いい。母は恐らく無意識なんですね。でも、カメラには母の内面が……。言葉でいくら説明しようとしても、母の内面って語れないのに。母が“15のときから……”って言わなければ、この映画を作るにあたってできた体験に巡り合うこともなかったんですよね。だから、いい時間を過ごせたなと思っていて。それがみんなと分かち合えたらさらにうれしいですよね。誰にでも親があって生まれてきている。誰にでも親との関係があり、親と子の物語があって。それをわかるのが娘であり、息子であり、父であり、母であり……っていうことなんじゃないかなと。そこにつなげて観てもらえたら、とてもうれしいです」
原田美枝子/Mieko Harada 東京都出身。1974年の映画デビュー以来、ジャンルを問わず幅広く活躍。76年公開の映画『大地の子守歌』、『青春の殺人者』で、キネマ旬報主演女優賞、ブルーリボン賞新人賞など9つの賞を受賞。85年には黒澤明監督作『乱』で楓の方役に抜擢され、98年の『愛を乞うひと』では日本アカデミー賞最優秀主演女優賞など多数受賞。主な近作に、ドラマ『透明なゆりかご』、『俺の話は長い』、舞台『誤解』、『MOTHERS AND SONS -母と息子-』など。
『女優 原田ヒサ子』 制作・撮影・編集・監督:原田美枝子
出演:原田ヒサ子
石橋大河 石橋エマニュエル 優河 石橋静河 Eita 荒木美智子 原田美枝子
3月28日(土)よりユーロスペースにてロードショー
公式サイト
https://www.haradahisako.com VIDEO
ⒸMieko Harada