イタリア製の白生地は、紬でありながら、滑らかな仕上がり。その生地を優しい色に染め、刺繡や金彩で、モダンな洋花唐草を施した訪問着は、華やかなのに主張しすぎず、洋装の中でもしっくりなじみます。春のお呼ばれや各種式典、レストランでの食事会などにおすすめです。
オートクチュールの紬地をきもの用に織り上げました
「親しまれる街の呉服屋さん」として、中部地方を中心に38店舗を展開する「ほていや」。この春、イタリア製の紬地を用いたオリジナル訪問着が完成しました。
イタリアといえば、世界をリードするファッションの街。有名ブランドのオートクチュールに使用するものと同じ素材から、和装用紬地の誕生です。
手掛けたのは、ミラノの北にあるコモ地方で200年あまりの歴史を誇る名門「コモ・セリーニ」。経糸(たていと)、緯糸(よこいと)ともに、2匹の蚕(かいこ)が一緒に一つの繭を作った玉繭から紡いだ紬糸を使用しています。
日本では石川県の牛首(うしくび)紬が玉繭糸を使っていますが、糸には部分的に節があり、織り上がるとその節が味わいとなって、独特の風合いを醸し出します。
Information
株式会社ほていや
愛知県名古屋市中区平和2–2-17
着る人/高垣麗子 撮影/岡田ナツ子 着付け/山㟢真紀 ヘア&メイク/鈴木富美子(EMBELLIR) 構成・文/宮下信子
『きものSalon』2020年春夏号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。