京都&パリ ひみつの美味案内 世界の食都、京都&パリ。地元のグルメな方々に、現地に暮らすからこそ知っているおすすめの美味をこっそり教えていただきます。旅の計画にぜひお役立てください。
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春到来!花名所のランチ
(取材・文/西村晶子)
町中に桜スポットが点在し、いたるところで花見が楽しめる京都。とりわけ散策をしながらいくつもの桜名所を巡ることができるのが、平安神宮や南禅寺、岡崎公園などが集まる岡崎エリアです。今回ご紹介する「三味洪庵(さんみこうあん)」は岡崎エリアにある蕎麦と料理のお店。店内に設けたテラスからもお花見ができます。
二段重、季節の天ぷら、甘味がつき、蕎麦はせいろか、かけ蕎麦から選べる「蕎麦御膳」3900円(2日前までに要予約)。趣ある町家の中、蕎麦も景色も桜色に包まれて
「三味洪庵」があるのは、市営地下鉄東山駅からすぐの白川沿い。築100年を超える京都市指定の歴史的風致形成建造物で、店内は趣のある和の空間に改装されています。天井が高く、開放的なテーブル席と座敷席があり、また白川に沿うようにテラス席も併設。春には川沿いに咲く爛漫の桜を愛でながら蕎麦を味わえる特等席です。
町家の風情を残しつつ、開放的な空間に改装された店内。菜の花のあえものや筍の煮物などの前菜の盛り合わせ、桜海老の天ぷら、甘味がつく春限定の「桜蕎麦膳」2900円。味も見た目も春の趣を盛り込んだ、桜シーズン限定の「桜御膳」
ご紹介の「桜御膳」は、桜の季節だけの蕎麦と料理、デザートをセットにした春限定のメニューです。うっすらピンクを帯びた蕎麦は桜の葉を練り込んだ変わり蕎麦。天ぷらは旬の桜海老をかき揚げにし、春の食材や野菜を用いた前菜の盛り合わせもつく、春の滋味を満喫できる充実の内容です。注文できる期間は桜が終わるまでで、例年通りであれば4月中旬頃までとのこと。周辺の桜は3月下旬頃から咲き始め、満開、花吹雪へと移り変わり、終盤には川面に浮かび流れていく花筏が楽しめます。
揚げたての天ぷらと自家製ごま豆腐がセットになった「天せいろ蕎麦」2000円。石臼自家製粉の十割蕎麦。揚げたて天ぷらとさまざまな薬味で味わう「天せいろ蕎麦」
定番の本格蕎麦を楽しみたい人には、「天せいろ蕎麦」がおすすめです。香り高い蕎麦と、揚げたての海老や季節野菜の天ぷらのセットに自家製のごま豆腐もつき、お昼に程よいボリュームです。蕎麦は店内の石臼で自家製粉した蕎麦粉を使用した十割蕎麦で、せいろかかけ蕎麦から選べ、せいろにはなめたけや甘辛味のお揚げなどの薬味がつきます。
「蕎麦御膳」の二段重。名物の西京味噌漬けのほかに、煮物、あえもの、蕎麦を使った料理が楽しめる。相伝の西京味噌漬け、“おぞよ”がメインのコース仕立ての「蕎麦御膳」
「蕎麦御膳」(2日前までに要予約)は、料理も蕎麦もゆっくり味わいたい方におすすめの御膳です。最初に登場するのは、創業の文久元年(1861)から引き継がれた製法で作り上げた名物の西京味噌漬け、“おぞよ”と呼ばれる京都の日常のおかずを盛り合わせた二段重。しっとり焼き上げたかれいや銀だらの味噌漬け、小蛸の旨煮、紅白なますや黒豆などが楽しめます。これに蕎麦や揚げたての天ぷらが続き、せいろかかけ蕎麦から選べます。
テラスの真ん中に枝垂れ桜があり、川のせせらぎや桜を間近に感じられるカウンターも。お昼は軽く済ませたい人向きの単品の蕎麦も充実しています。にしん蕎麦や生湯葉蕎麦、九条ねぎのねぎ蕎麦といった京都ならではの蕎麦もあり、つゆは京風の優しい味つけです。観光地なのでお昼時は込み合いますが、早い時間なら並ばずにテラス席も確保できそうです。
テーブル席のほかに、テラス席、靴を脱いで上がる座敷のテーブル席もある。三条通から北側の路地を入ったところ。平安神宮までは徒歩5分ほど。例年通りであれば、3月末から桜は見頃に。三味洪庵 東山三条本店
京都府京都市東山区三条通北裏白川筋西入る石泉院町393
電話 075-771-0952
営業時間 11時~20時(LO) ※14時30分~17時は単品の蕎麦のみ。
定休日 月曜(祝日の場合は翌火曜) ※祭礼などの行事により、ほかに不定休あり。
※新型コロナウイルスの影響により、営業時間に変更が生じたり休店する場合があります。お越しになる際は、事前に営業状況をお店へお問い合わせください。「#京都」の記事一覧はこちら 西村晶子/Shoko Nishimura
関西を拠点に、京都の食や文化、人、旅を幅広く取材、編集。長年、『家庭画報』の京都企画を担当し、さまざまな記事を執筆。最近の書籍の仕事に『
旨し、うるわし、京都ぐらし』(大原千鶴著)がある。
表示価格はすべて税別です。 撮影/伊藤 信