京都&パリ ひみつの美味案内 世界の食都、京都&パリ。地元のグルメな方々に、現地に暮らすからこそ知っているおすすめの美味をこっそり教えていただきます。旅の計画にぜひお役立てください。
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春到来!散策名所のランチ
(取材・文/大島 泉)
春の陽気に誘われて散歩に出かけたくなる3月のパリ。散策の途中に訪れやすい気軽なランチスポットの中から、個性溢れる味わいでパリジャン&パリジェンヌの話題をさらっているお店を1か月にわたってご紹介します。第2回となる今回は、パリっ子のおやつの代表格、ブリオッシュの専門店です。
ブリオッシュサンドイッチのひとつである、オーガニックの卵と野菜のみを使った「ヴェジェ」6€50。手作りブリオッシュが七変化!
「ル・バブ、バー・ア・ブリオッシュ」
おかず系もスイーツ系もずらりと揃えたブリオッシュの専門店が、2019年の年末パリにオープンしました。場所は、シャンゼリゼやフォーブールサントノレから程近いオフィス街の中。ピクニックが楽しめるチュイルリー公園やモンソー公園からも徒歩圏内のアクセスです。
左から、ブルターニュの郷土菓子クイニーアマンをブリオッシュ生地でアレンジした「クイーン・アマン」3€、ユダヤ発祥のお菓子で今パリで流行中の「バブカ」3€、昔ながらの、砂糖をかけただけの「シュクル」2€50、チョコレートを練りこみキャラメルを詰めた「ショコラ・キャラメル」4€、「シナモンロール」3€。パリのおやつの定番・ブリオッシュを自由にアレンジ
お店を起こしたのは、27歳のマルゴ・エカール。調理師学校、パティシエの専門校を卒業後、レストランのシェフとして働いていた彼女が、自分の店を持ちたいと考えたときに思いついたのが、子供の頃から好きだったブリオッシュでした。バターたっぷりの豊かで優しい味の、パリでは誰にとっても懐かしいおやつでありながら、あまり主役になることがなかったブリオッシュをさまざまな形で自由に表現することで、ブリオッシュのよさを見直してもらいたい、と考えたそうです。
ランチセットのひとつ「ラ・バベット」11€。サレ(塩気のある)のブリオッシュに、スープとドリンクがつく。ランチにおすすめのおかず系ブリオッシュは、近隣のオフィス街から通う常連も飽きないようにと、サレ(塩気のある)ブリオッシュ5種類とブリオッシュサンドイッチ5種類が揃います。塩味ブリオッシュのベストセラーは、デニッシュ生地にベーコンとメープルシロップが入ったもの。ほかにも、くるみと山羊のチーズやオリーブ、チェダーチーズなど、ランチはもちろん、ディナーのパンにもよさそうな、ブリオッシュの味わいを際立たたせたメニューばかりです。
ブリオッシュ生地を日本の食パン型で焼き上げたトーストに、たっぷりの具材を挟んだ「コーンドビーフ」7€50。ブリオッシュのサンドイッチとは?
珍しいブリオッシュサンドイッチは、具がしっかり入ってボリュームたっぷり。オーガニックの卵と野菜だけを使った「ヴェジェ」は、ブリオッシュ生地を、ブレッツェル仕立てにカリッと焼きあげた、滋味溢れる満足感のある1品。ブリオッシュ生地を日本の食パン型で焼き上げたトーストに、ビーフの薄切りやピクルス、自家製のコールスローを挟んだ「コーンドビーフ」もオリジナリティ溢れるメニューです。
さまざまなブリオッシュがぎっしりと並んだショーケース。甘いブリオッシュも個性豊かなものばかり
デザートにおすすめの甘いブリオッシュも、もちろんバリエーション豊か。砂糖をかけただけのほんのり甘いプレーンから、ユダヤ発祥で今パリのトレンドとなっているバブカや、ブルターニュの郷土菓子クイニーアマンをアレンジしたものなど、個性豊かなものばかり。
オーナーシェフのマルゴ・エカール。お店の使い捨ての食器は、すべてサスティナブルプラスチック製。環境に優しいことに敏感なパリらしい心配りが、随所に感じられます。
店内に入ると、ブリオッシュがたくさん並んだショーケースがまず目に飛び込んでくる。レストランやファーストフードが並ぶ通りの中にこぢんまりと建つ。ブリオッシュ専門店はパリでも珍しく、すでに名が知られてきている。Le BAB, Bar à Brioches
(ル・バブ、バー・ア・ブリオッシュ)
8 Rue la Boétie 75008 Paris
電話 +33 (0)1 42 66 41 86
営業時間 8時~17時
定休日 土曜・日曜
https://www.le-bab.fr※フランス政府による新型コロナウイルス対策の措置のため、3月19日現在休業中です。お越しになる際は、営業しているかどうかをお店にご確認ください。
「#パリ」の記事一覧はこちら 大島 泉/Izumi FILY-OSHIMA
ライター、コーディネーター、通訳、翻訳者
東京生まれ、東京育ち。1989年にパリへ移住。現在はパリ郊外、サンジェルマン・アンレイ暮らし。
撮影/村松史郎