――絵も得意で『スカーレット』での陶芸家役もハマっていた松下さん。創作活動をしている人間として共感する部分があったのでは?
「絵を描いたりすることが好きで、もの作りを小さい頃から楽しんでいたこともあって、共感できる部分は多かったです。たとえば八郎がまだ若い頃、喜美子が作っているコーヒー茶碗を見て、“本焼きしたら割れるかもしれない”と言うシーンがあったんですけれども、動揺して不安がる喜美子に、八郎は“焼いてみないとわからない。それが陶芸だよ”と言うんです。“不安を楽しみに変え”と。もの作りの醍醐味とか面白さって、そういうものなんだろうなと改めて思いますね。久々のライブを前にした自分に、八郎さんの“不安を楽しみに変え”という言葉がブーメランのように返ってきているなと(笑)」
――どんなに稽古をしても幕が開いてみないことにはわからない、舞台にも通じるものがありますね。
「そうですね。初日が開いてからも、お客さまの反応は日によって違うので、いまだに毎回ドキドキしますし、今の自分にはこの言葉がテーマかもしれないです。これからどうなっていくかわかりませんが、それを楽しめる自分でいたいなと思います」
画家である母のもと、幼少期から油絵を描き始めた。「母は今も僕にとって特別な人です。僕が出る作品を誰よりも楽しみにしています(笑)」