『ボーイズ・イン・ザ・バンド~真夜中のパーティー~』
新演出で上演される伝説の傑作舞台に挑む
「50年経っても変わらず上演できる、テーマとパワーを持った作品ですよね。閉塞的な社会で暮らす人々が抱えるジレンマや生きづらさが描かれていて、誰にでも何かしら共感できるところがあるように感じています」
そう話すのは、今夏、新訳と白井 晃氏の新演出で上演される『ボーイズ・イン・ザ・バンド~真夜中のパーティー~』で、3年ぶりに舞台に出演する安田 顕さん。
1968年にオフブロードウェイで初演され、日本でも83年以来幾度も上演されてきた傑作会話劇だ。
演じるのは、物語の舞台となるニューヨークのアパートに住む主人公マイケル。ゲイの友人たちとの一夜のパーティを通して、LGBTの人々を取り巻く社会の現実や、それぞれが抱える問題や孤独を描き出す。
「チケットを買ってくださったかたが、面白く、興味深く観てくださり、無意識のうちに持ってしまっているかもしれない偏見について、ふと考えるような作品になったらなと思います。自分にできるのは、そこに描かれている時代や文化や思いを勉強して、白井さんや共演者とたくさん話をしながら、稽古を重ねていくこと。
劇場に足を踏み入れる前の景色と、観終わって出たときの景色が、ちょっとだけ違って見えたら嬉しいです」
大学時代は演劇研究会に所属。そこで出会った大泉 洋さんらと結成した演劇ユニット「TEAM NACS」に今も所属しているが、近年はドラマや映画に引っ張りだこ。「舞台に立つことが年々怖くなってます」と笑う。
「素晴らしい舞台を観たときなんて、落ち込みますからね。“すごいな、こんなに人を感動させられるとは! 俺なんか、どうすりゃいいんだよ”って。
でも不思議と、翌日は元気になって、現場に向かうときには“よし、頑張ろう”と思う。それが演劇、エンターテインメントの力なんでしょうね。少しでもその足しになるように、今回も精一杯努めます」
安田 顕(やすだ けん)
1973年、北海道出身。演劇ユニット「TEAMNACS」メンバー。映画、ドラマ、舞台を中心に活躍し、数々の話題作に出演。出演するテレビ東京の連続ドラマ『らせんの迷宮~DNA科学捜査~』が4月より放送予定。
『ボーイズ・イン・ザ・バンド~真夜中のパーティー~』
Bunkamura シアターコクーン2020年7月18日~28日
なかのZERO 大ホール8月27日~30日
S席1万2000円ほか
サンライズプロモーション東京:0570(00)3337
公演の詳細はこちら>>原 作/マート・クローリー
演出・上演台本/白井 晃 出演/安田 顕、馬場徹、川久保拓司、富田健太郎、浅利陽介、太田基裕、渡部豪太、 大谷亮平、 鈴木浩介
表示価格はすべて税込みです。
取材・構成・文/岡﨑 香 撮影/増田 慶 ヘア&メイク/西岡達也 スタイリング/村留利弘〈Yolken〉
『家庭画報』2020年5月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。