日常に音楽が溢れるパリでの生活
そんな職人の仕事についてお話を聞いている中でも、工房の接客ブースからは楽器を試奏する優雅な音色が聞こえてきます。
そんな環境を羨ましく思うと伝えると「確かに音楽のある中で仕事ができるというのは幸せなことですね。ここの仕事場のみならず、フランスでの生活でいいなと思うのは、日常に音楽が溢れていること。
日本ではハードルが高いと思っていたクラシック音楽のコンサートも気軽に行けますし、教会では無料のコンサートが開かれることもしばしば。ストリートライブで演奏している人もいれば、友人のお宅にミュージシャンが集まるからと招待されることも。そんなパリでの生活が気に入っています」と佐藤さん。
様々な工具や楽器が並ぶ職人たちの作業机。ゴールがない職人の仕事にやりがいを感じて
「パリに来て、ヴァイオリン職人の道を歩き始めて、あっという間に10年が経ちました。まだまだ職人として学ぶべきことがたくさんあります。ある意味ゴールがないのが職人の仕事。だから飽きることなく続けられるのかもしれないですね」
佐藤 舞 / Mai Sato
秋田県出身。高校卒業後、東京・三宿にある楽器職人育成の専門学校「国立音楽院」に入学、ヴァイオリン製作を学ぶ。卒業後ワーキングホリデーで、フランス・パリの弦楽器製作&修理を専門とする工房「ギー・ココズ ルチエ」にて修業。その後再びパリに渡り、同工房にて職人として働き始める。ヴァイオリン、チェロなどの弦楽器の修復や、今では弓の修復の担当に。
Information
GUY COQUOZ - LUTHIER46 Rue de Rome, 75008 Paris
電話 +33 (0)1 55 30 00 30
営業時間 9時30~18時30 (土曜~13時)
定休日 日曜・月曜
http://www.guycoquoz.fr/
ルロワ 河島 裕子 / Hiroko Kawashima Leroy
ファッションライター。『家庭画報』をはじめ大人の女性に向けた雑誌で、ファッションやジュエリー、時計を中心に幅広く執筆。2018年より、家族とともに、拠点をフランス北部の田舎に移す。2019年夏、ついに憧れのブルゴーニュに家を購入! 夢は夫とともにB&Bを営むこと。パリで道ゆくおしゃれな人に体当たり取材する「
パリ、大人のおしゃれの見本帳」、行き当たりばったりのフランス移住エッセイ「
意外となんとかなる!? 40代のフランス移住」を同サイトで連載中。
表示価格はすべて税抜き。
写真/水島 優 編集・取材・文/ルロワ河島裕子