ゲノム編集技術 わずか8年ほどで大きな進展
より正確なゲノム編集法の開発やほかのバイオ技術との組み合わせで医療における適応範囲が広がっていく2012年に初めて報告されたゲノム編集の技術は、わずか8年ほどの間に目覚ましい発展を遂げています。当初、4つの塩基(アデニン=A、グアニン=G、シトシン=C、チミン=T)が順に並んだ塩基配列の一部分を編集する技術として報告されました。
ところが、現在では1つの塩基のみを削除したり、差し替えたりすることが可能になっています。さらに、複数の配列を一度にゲノム編集する方法も研究されています。
あらかじめ体外に取り出した細胞のゲノム編集を行って、それを体内に取り入れる方法も研究されています。
また、ある病気の細胞に取りついて細胞内に入っていく分子(ベクター)を結合させた薬を作り、その薬を患部に入れることによって、病気になっている細胞のゲノム編集を行う方法も開発中です。
これらは「ゲノム編集薬」と呼ばれ、すでに子どもの難病などを対象に世界で臨床試験が始まっています。
さらに、患者の血液などからiPS細胞を樹立して、その細胞から病気の原因となるDNAを排除したり、治療のためのDNAを加えたりして、再生医療などに生かすための研究も行われています。
このように一度社会に出た画期的な技術は、さまざまな技術やアイディアと融合し、研究が進められていきます。