――花形俳優として多忙な七之助さん。最近お気に入りのリラックス法があったら教えてください。
「走っています。今年1月は歌舞伎座公演(『壽 初春大歌舞伎』)に昼夜とも出ていたんですけれども、昼の部の最初の演目と夜の部の最後の演目で、間が5時間くらい空いていたんですね。それで、稽古があるとき以外はどうしようかなと思っていたら、事務所にうちの兄が『いだてん』(2019年、NHK大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』)のトレーニングで使っていたウェアがあるっていうので、借りて走り始めたんです」
――以前から何か運動はしていたのですか?
「いえ、まったく(笑)。でも、走ってみたら楽しくて。学生の頃、走るのが好きで短距離走をやっていたことを思い出して、長距離を走るのは初めてだったんですけれども、きっと体を動かすことが向いているんだなと。筋トレとか、健康のためにするわけじゃなく、マイペースで続けることが好きなんだと思います。それで、スポーツジムにも入って、水泳も始めました。僕は器械に疎くて知らなかったんですが、今は水に濡れないようなイヤホンがあって、音楽を聴きながら泳いだりもできるんですよ。そういうことも新鮮です」
――体力がつくうえに、気分転換にもぴったりですね。
「そうですね。肺活量が上がれば、芝居にも役立つんじゃないかと思っています。まあ、舞台の本番が始まったら、なかなか続けられないかもしれませんが、(新型コロナウイルス感染症が広まってきている)こういうときに、こういうものが見つけられてよかったなと思います。走ることだったら、ちょっと時間があればいつでもできる。自分が走りたいなと思ったときに、一人でサッと走りに行けますから」
兄の勘九郎さんが金栗四三役で主演を務めた『いだてん』に、昭和の名人落語家・三遊亭圓生役で出演した。「大変でした。衣装も化粧も小道具もなく、お客さんの前に出るなんて。落語家さんを改めて尊敬しました」