曲げわっぱの技が引き出す秋田杉の柾目の美
柾目が出るように薄く割った秋田杉を湾曲させてさまざまな形を生み出す大館曲げわっぱ。17世紀に秋田の地を治めた佐竹西家が領内の豊かな森林資源を利用して、困窮にあえぐ下級武士の生活を救うために、副業として曲げわっぱの製作を奨励したことからその生産が盛んになりました。
うつわの中に小さなグラスや豆皿を入れると使い方の幅が広がる。一口点心にラズベリーソースを添え、チキンスープとともに。クロス/ガルニエ・ティエボー(レ・パシフィック)
秋田杉は年輪の幅が狭く比較的均一で、節などによる狂いも少ないのが特色です。また弾力性に富む柔らかい木地は収縮や変形が生じにくく、うつわとしての耐久性にも優れています。曲げわっぱの製作は、秋田杉から適切な部分を切り出して薄板を作る工程から始まります。切り出し方によってでき上がりの美しさが左右される大切な工程です。
続いて、熱湯で煮沸し曲げやすくした薄板を、熱いうちに瞬時に型に巻きつけ、成形します。一見シンプルにも思える作業工程ですが、だからこそ一つ一つの工程の完成度ができ上がりに如実に反映されます。秋田杉の持つ美しさを最大限に引き出すために、職人たちはその技を切磋琢磨し続けているのです。
煮沸して柔らかくなった薄板を熱いうちに型に巻きつけ、固定させて成形する。
切り出した薄板を熱湯で煮沸することで柔らかくなり、加工しやすくなる。
家庭画報×大館曲げわっぱ 蓋物のご購入方法
「蓋物」直径約11×高さ約8センチ 1万3800円(税・送料別)。 購入をご希望のかたは、直接「大館工芸社」にご注文ください。ご注文はFAX、メールにてお願いいたします。
FAX:0186(48)7711
メール:
info@magewappa.co.jp※ご注文が確定してから製作するため、商品のお届けにはお時間がかかります。また、商品は一つ一つ手作りのため、仕上がりが写真とは少々異なる場合があります。
今回ご協力いただいたかた大館工芸社定番のおひつやお弁当箱のほか、マグカップや食器などモダンなデザインも取り入れ、曲げわっぱの新たな可能性を追求している。
大館工芸社
秋田県大館市釈迦内字家後29-15
TEL:0186(48)7700
撮影/角田 進