脈拍の異常がわかったら放置せずに内科医に相談する
杏林大学医学部付属病院は2011年に「不整脈センター」を開設し、超高齢社会を背景に急速に増える不整脈の患者に対して専門性の高い診療を開始しました。
センター長を務める副島京子先生は、不整脈治療の先進国である米国で8年にわたって研鑚を積んだエキスパートです。
日本においても世界標準の不整脈治療の実現を目指し、チーム医療を基本に同センターの診療システムを整備してきました。
20年現在、年間約1000人の不整脈患者の診療に対応し、これまでに実施したカテーテルアブレーション治療は4000件を超えます。
不整脈とは心臓のリズムが乱れて脈の打ち方が異常になった状態のことです。心臓の筋肉が規則正しく収縮するのは心臓の洞結節でつくられた電気が伝導路を通って心臓全体に流れ、心臓の筋肉に刺激を与えているからです。
この刺激伝導系の働きが障害されたり、異なる場所から速い電気興奮が発生したりすると不整脈が生じます。
心筋梗塞や心筋症などにより心筋がダメージを受けると不整脈を起こしやすくなりますが、原因はそれだけではありません。
「加齢、ストレス、睡眠不足、疲労、喫煙、カフェインの過剰摂取などでも起こります。更年期になると動悸を訴える女性が多くなりますが、これは女性ホルモンのバランスが崩れ、自律神経が乱れていることによるものです」と副島先生は説明します。
良性の不整脈がほとんどですが、なかには治療を要するものもあります。
「健康診断で不整脈を指摘された場合は、放置せずにかかりつけ医(内科、循環器内科)に相談し、必要に応じて専門外来を紹介してもらいましょう」と副島先生はアドバイスします。