自身のおもらし経験から発案してサービスを実現
子どもの頃から起業に興味があった中西さん。2013年に国内の大人用おむつの売り上げが子ども用おむつの売り上げを上回ったというニュースに驚いたことがきっかけでこのサービスを思いつきました。
自身も米国留学時、おなかを壊して引っ越しの最中に道端で粗相してしまい、その後、しばらく外出できずに引きこもった経験があります。
そこで排せつで困っている人に対して何かできないかと考えたのです。
新しい製品やサービスが生まれる場所として世界的に知られるシリコンバレーの投資会社でインターンをしているときに、起業家たちにDFreeのアイディアを面白いといってもらえたことも後押ししました。
超音波は妊婦の健診で胎児を見るのに使われるくらいだから安全だし、排せつを知るのにも使えるだろうと発想し、医師や看護師、超音波の専門家などにヒヤリングをしたものの、
「超音波でほんとうに膀胱や腸が映るのかの実験、超音波の周波数や当て方、取得データを数値化するアルゴリズムの作成、本体の材料選び、小型化や軽量化、資金調達、特許の取得、販路開拓など苦労の連続でした」。
そして、2015年にサービスを開始。米国でも2018年から販売を始めています。
また、腸の蠕動運動の変化によって便意を感じる前に排便のタイミングを知らせるサービスも準備しています。
「便秘薬を使わざるを得ず、急な便意に困っている人や腸の病気がある人などに使ってもらえればと思っています」。
端末からのデータはセキュリティ対策が施されたクラウド上に蓄積され、排せつに関するビッグデータとなります。そして、データの蓄積が進むほど予知などの精度が上がっていきます。
「これらのデータを血圧や心拍数、血糖値といったほかのデータと組み合わせるとさまざまな知見が出てくるのではないかと期待しています。胃の動きから消化の度合いを見るなど、超音波をほかの目的にも使えるようにしたいですね」と中西さんは話しています。