カルチャー&ホビー

江戸の日本は世界的な園芸大国! 独自に発展した「菖蒲(しょうぶ)」の歴史を紐解く

2020.05.11

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原種ノハナショウブから千変万化
変化咲きを愛す「ニッポン花デザイン」


原種ノハナショウブ原種ノハナショウブ
今でも全国の湿原や高原に多く自生。日本だけでなく、ロシアや中国東北部、朝鮮半島にも分布する。写真は北海道の海岸草原に咲くノハナショウブ。濃い紅紫色の素朴な三英花が美しい。


花菖蒲は日本の山野に自生するノハナショウブの中から色や形が変異したものを選抜し、交配を繰り返すことでできたと考えられています。


原種は花びらが3枚の単純な三英(さんえい)咲きですが、品種改良によって次第に六英咲きや八重咲きなど、変化咲きの花が増えていきました。

花のつくり

また、室内観賞用に発展した肥後系や伊勢系に比べると、花菖蒲園で群生を見せる江戸系には、どんな花形も個性とみなすおおらかさがあり、花びらが横に開いた平咲き、上向きに広がった受け咲き、満開時も蕾つぼみのような玉咲きなど、多様な形があります。

色も単色だけでなく、白筋や脈、絞りや砂子など、微妙な柄の種類が増えたことでいっそう多彩になりました。

下のフォトギャラリーは千葉大学が所蔵する『花菖培養録草稿』(嘉永6年版)の写本中の図譜と、現在の菖翁花の写真です。中には同名異種の可能性がある品種もありますが、江戸時代から同じ名前を受け継ぐ花が今も咲いているというだけでも、歴史のロマンを感じませんか。

形状も色柄も多様化

形状も色柄も多様化
花の基本形は下向きに垂れる外花被と、「鉾」と呼ばれる上向きに立つ内花被からなり、外花被と内花被が同じ大きさになったのが六英咲き、主におしべが花弁化したものが八重咲き。形や色柄が多様になり、飛躍的に種類が増えた。
撮影=大泉省吾 本誌・坂本正行 構成・文=大山直美 イラスト=ウエイド 編集協力=日本花菖蒲協会 写真提供=山本 誠/アフロ 八紘学園 学研/アフロ 清水 弘 日本花菖蒲協会・戸塚由美子 ピクスタ 図版提供=国立国会図書館 千葉大学附属図書館松戸分館 葛飾区郷土と天文の博物館

『家庭画報』2020年5月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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