新型コロナウイルス感染症 正しく知って正しく怖がる 最終回(全3回) 世界的に猛威を振るう新型コロナウイルス感染症。大量の情報が飛び交う中で正しい情報を得て、適切に振舞うことが誰もに求められています。この感染症の特徴、感染や症状悪化を遠ざけられる日常の工夫について専門家に教えてもらいます。
前回の記事はこちら>> *2020年3月31日現在の情報をもとに記載しています。『家庭画報』2020年6月号掲載。この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。 新型コロナウイルスに負けない体づくり
新型コロナウイルスの感染拡大が止まりません。大都市圏ではいつ感染してもおかしくない状況で、決して他人事ではないのです。
中高年女性が感染すると重症化するリスクがあることもわかっており、普段から健康レベルを上げておくことが重要です。
そこで、健康な体づくりの基本である「食事」と「睡眠」について、専門家のかたがたに今すぐ実践できるポイントを教えてもらいました。(
「食事」についての記事はこちら>>)
第3回【実践編・睡眠】
質のよい7〜8時間の睡眠を心がけて免疫力を低下させない!
スタンフォード大学医学部教授 同大学睡眠生体リズム研究所所長
西野精治(にしの・せいじ)先生「睡眠不足になると風邪やインフルエンザにかかりやすい、予防接種を受けても抗体反応が弱いなど、数多くの論文が報告されています」と話すのは『スタンフォード式最高の睡眠』で知られる西野精治先生です。
夜ふかしは“感染のもと”
2009年の研究では、睡眠時間が7時間未満の人は、8時間以上の人に比べて風邪を発症するリスクが高いという結果が出ました。
また、2002年の研究では、インフルエンザワクチンの接種後、睡眠時間を4時間×6日間に制限した人は、制限しなかった人に比べてワクチンの抗体反応が大幅に弱くなっていました。
「不眠症が免疫細胞の一種でウイルス感染細胞を攻撃するナチュラル・キラー細胞の活性を抑制することも示されており、睡眠不足は感染症の危険因子だと考えます」。
深い睡眠がとれるよう普段から規則正しい生活を
これらの研究を踏まえ、西野先生は「免疫力を低下させないために7~8時間の質のよい睡眠をとることが大切です。特に寝入りの90分が眠りのゴールデンタイムなので、この時間帯に深い睡眠がとれるよう普段から規則正しい生活を心がけたいものです」とアドバイスします。
“安眠を誘う”規則正しい生活とは、第1に起きる時間を一定にすること。生体リズムが乱れなければ朝すっきり目覚め、夜になると眠りのホルモンであるメラトニンの分泌が始まり、体温が下降して良質な睡眠が得られます。
第2に朝、起きたら太陽の光を浴びること。体内時計がリセットされて14~15時間後にはメラトニンの分泌が始まり、自然に眠くなります。
反対に夜は強い光(特にブルーライト)を浴びないこと。メラトニンの合成が阻害されて分泌が止まってしまうからです。
また、「寝る前にスマホを見るのも光照射だけでなく、脳を過度に刺激し、交感神経や覚醒系ホルモンを活発にするのでやめましょう」と西野先生は警告します。
睡眠の質を向上させるには食事も大事です。特に朝食には体内時計をリセットする働きがあるため欠かさずにとりたいもの。
夕食で気をつけることは食べるタイミング。入眠時に消化活動が落ち着き、睡眠中に空腹感がない状態にするには寝る2~3時間前までの夕食が理想的です。
睡眠の実践5か条
1 起きる時間を一定にする。
2 朝起きたら意識的に太陽の光を浴びる。
3 夜は強い光を浴びない。寝る前にスマホは見ない。
4 朝食を食べて体内時計をリセットする。
5 寝る2~3時間前までに夕食をとる。