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孤高の画家が描き続けたプロヴァンスの花「ゴッホ展 巡りゆく日本の夢」

2017.11.22

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ファン・ゴッホが描いた花や樹は、どれもプロヴァンスに根付いた身近な植物


1888年、ファン・ゴッホはパリを離れ、南仏プロヴァンスの、古代ローマ時代から歴史ある街、アルルに落ち着きます。その道中の心境をゴーギャン宛の書簡にこう記しています。

「この冬、パリからアルルに向かう道中に受けた胸のたかぶりは、今でもよく覚えている。〈もう日本に着いたか〉と待ちきれない気持ちだった。子どもみたいだが」

浮世絵をきっかけにファン・ゴッホは日本のイメージをどんどん膨らませ、日本を理想郷として考えるようになり、その理想郷をアルルに求めてやってきたほど、日本を夢見ていたのだそうです。



《アイリスの咲くアルルの風景》(1888年)。黄色いキンポウゲの咲き乱れる牧場にスミレ色のアイリス。この景色をファン・ゴッホは「日本の夢のようだ」と書き残している。 ファン・ゴッホ美術館(フィンセント・ファン・ゴッホ財団)蔵。©Van Gogh Museum, Amsterdam(Vincent van Gogh Foundation)

アルルで暮らしたのはわずか1年と3か月。ゴーギャンとの共同生活の破綻から心を病み、アルル郊外のサン・レミの療養所に入ります。

しかし、このアルル〜サン・レミ時代に、ファン・ゴッホは素晴らしい作品を多数制作しています。そしてそれらの作品の多くのモチーフが、プロヴァンスを代表する花や樹でした。 アイリス、夾竹桃(キョウチクトウ)、ケシ、アーモンドの花、オリーブ、糸杉、麦畑、そしてヒマワリなど…...。


《夾竹桃と本のある静物》(1888年)。日本初公開の作品。夾竹桃は南仏ではよく見かける常緑高木で、ファン・ゴッホのお気に入りのモチーフの一つ。アルルで暮らした《黄色の家》の門前にこの木を2本植えたいと記した書簡も残っている。メトロポリタン美術館蔵(ジョン・L・ローブ夫妻寄贈)。©The Metropolitan Museum of Art. Image source:Art Resource, NY

どれも南仏ではごく身近にある植物ですが、浮世絵の技法を取り入れて描かれた作品の前に立つと、どこか懐かしいような親しさを感じます。また、ファン・ゴッホの植物に対する深い愛情が伝わり、絵の前から立ち去りがたい気持ちになりました。
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