ヘックス城外観。1970年から先代のミシェル・デュルセル伯爵の所有となった。美しい花々とともに、伯爵家族が住まう城
ヘックス城
ブリュッセルから東へ車で約1時間。広大な庭園と公園を有するヘックス城には、現在もデュルセル伯爵とその家族が暮らしています。
この城は、中世から19世紀まで、ベルギー、オランダ、ドイツの一部にまたがって存在したリンブルグ公国の統治者、リエージュ司教君主のフランソワ=シャルル・ド・ヴェルブリュック伯爵が夏の離宮として建設したもの。ロココ・スタイルのエレガントな城です。
ヴェルブリュック司教君主の死後はアンサンブール家に継承され、その後、ミシェル・デュルセル伯爵が相続しました。バラをこよなく愛した妻のナンダ・デュルセル伯爵夫人は野バラとオールドローズの見事なコレクションを築き、美しい庭園を育て上げました。
その息子で現在の城主であるギラン・デュルセル伯爵の妻、ステファニー伯爵夫人も、花を愛する人。義母が育てた庭園に咲き誇る花々を使ったフラワーアレンジメントで城内を彩り、鉢植え一つまで、自ら管理しているといいます。
バラが美しく咲く時期 城門が開かれ、庭園に人が溢れる
毎年6月と9月の第2週末に行われている「ガーデン・フェスティバル」。庭園が公開され、苗木やガーデングッズなどを販売する出店も。庭園が大いに賑わうガーデン・フェスティバル
敷地のいたるところに70あまりの出店が並ぶ。やはりバラの苗木を扱う店が人気。フォーマル・ガーデンとイングリッシュ・ガーデン、そして伯爵家族の食卓を彩るキッチン・ガーデンと、広大な庭園をもつヘックス城。
この庭園に愛情を注いだナンダ・デュルセル伯爵夫人は、咲き誇る花々を多くの人に楽しんでもらいたいと、ふだんは非公開の庭園を開放する「ガーデン・フェスティバル」を企画しました。
オーガニック栽培のキッチン・ガーデン。収穫された野菜はデュルセル伯爵家の食卓に上り、使われなかったものは地域のショップで販売される。野菜と一緒に切り花用の花も育てられている。左/来場者は庭園で自由に過ごす。奥の建物は元厩舎で、現在は倉庫などとして使用されている。
右/庭園の花々から集めた3種のハチミツとハニーワインの販売も。その遺志を継いだギラン・デュルセル伯爵夫妻の尽力により、現在ではヨーロッパ中の園芸愛好家が詰めかける、お祭りのような賑やかなイベントに。3人の子どもたちも友人を連れて帰省してお手伝い。一家総出でもり立てています。
城の正門に通じるブナの大木の並木道にもさまざまな店が並ぶ。左/キッチン・ガーデンの野菜を使ったひと皿。野菜ごとに異なる、洗練された味つけ。
右/デュルセル伯爵家のフォーマル・ディナーの料理も担当するシェフのクロード・ポーリッグ氏。 Information
ヘックス城
Hekslaan, B-3870 Heks-Heers
- ガーデン・フェスティバル 開催期間:2020年6月12日~14日、9月12日~13日 開場時間:10時~18時(入場は17時まで) 入場料:11ユーロ(インターネットによる前売りは9.5ユーロ)
*掲載した開園時期・時間、イベント開催期間などの情報は、変更の可能性があります。ウェブサイト等でご確認下さい。
撮影/小野祐次 構成・文/安藤菜穂子 協力/ベルギー・フランダース政府観光局
https://www.visitflanders.com/ja/『家庭画報』2020年6月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。