米粉を中心とした数種類の粉と砂糖を水で溶き、蒸して仕上げた生地を「外郎(ういろう)」といいます。
粉の配合を調整して、餡(あん)を包んで形作るものは滑らかな生地に、餡を挟んで仕上げる生地には少し張りを持たせます。流し缶に入れて棹物にすることもできます。
今回は、かきつばたの花にちなんだ、5月にぴったりの外郎の主菓子をご紹介します。
作り方を教えてくださったのは、清 真知子(きよし・まちこ)さん。茶道裏千家教授の資格を持ち、兵庫県明石市で茶道と和菓子の教室「さろん閑遊」を主宰しています。
(1)5月の外郎の主菓子「唐衣(からごろも)」
「唐衣 着つつ馴れにし 妻しあれば はるばる来ぬる 旅をしぞ思ふ」
在原業平が詠んだ「かきつばた」の歌から銘をつけた菓子です。形も優美なかきつばたの花を写しています。
【材料(12個分)】
・A[上用粉70g 餅粉35g 薄力粉35g 上白糖125g]
・葛粉 10g
・水 170g
・食紅(紫) 適宜
・こし餡 180g(ひとつ15g)
・片栗粉(手粉) 適宜
・B[上白糖50g、水50g]
※こし餡は市販のものがありますが、手作りするとまた格別のおいしさです。作り方は
こちらをご覧ください>>【準備】
「手水(てみず)シロップ」を作る。Bを混ぜながら煮溶かし、冷ましておく。
ポイント◆生地の表面を色ツヤ良く仕上げるために、手水シロップを使う。【作り方】
(1)ボウルにAをすべてふるい入れ、泡立て器で軽く混ぜる。葛粉を半量の水で溶き、漉しながら加えて混ぜる。残りの水で器に残った葛粉をすすいで漉しながら加える。
(2)(1)の1/3量に食紅を加えてよく混ぜ、紫に染める。残り2/3は白いままにしておく。
(写真で使っている食紅は別のもののため、ピンク色をしています)(3)底のない枠、またはざるなどを濡れ布巾で仕切って、(2)の紫と白い生地を流し入れる。強火で35分蒸す。
(4)蒸し上がった外郎生地を熱いうちに布巾ごと軽く揉み、布巾を何度替えながら、更に生地が滑らかになるまで揉み込む。
(写真で使っている外郎生地は別のもののため、ピンク色をしています)(5)白を2等分し、紫と長さを揃え3本の棒状にする。白で紫を挟み、手水シロップをつけた
指で表裏ともグラデーションになじませる。
(6)生地に片栗粉をまぶし、麵棒で16×48cm以上にのばす(長くのばすのが難しい場合は16
×24cmを2枚作る)。8cm四方の正方形(12枚)に切る。
(7)こし餡を12等分して餡玉を作る。刷毛で生地の片栗粉を払い、紫の部分が上になるよう生地にこし餡を置き、2つに折る。
(8)左右から指で押して花の形を作る。
明日すぐ作れる「きんとん」レシピ京都の和菓子「葛焼き」の作り方 清 真知子/Machiko Kiyoshi
1960年神戸市に生まれる。83年裏千家学園茶道専門学校卒業。96年神戸市内に、2002年に東京・学芸大学に和菓子教室を開く。現在、茶道裏千家教授、茶道と和菓子の教室「さろん閑遊」を主宰。デモンストレーションと実技で構成される和菓子教室は、季節感溢れる美しい和菓子が初心者でも上手に作れると好評を博している。2014年兵庫県明石市に教室を移転。
【好評発売中】
家でこんなに美しい和菓子が作れるなんて!
今回ご紹介した和菓子を含め、主菓子と干菓子55のレシピを掲載。豊富なプロセス写真とわかりやすい文章で、ご自宅での和菓子の作り方をご紹介しています。
清 真知子 (著)
※Amazonほか各ネット書店でのご購入は
こちら。また、全国どちらの書店からも送料無料で店頭お取り寄せが可能です(一部お取り寄せが出来ない店舗もございます)。
撮影/浮田輝雄