第1回 帽子
トレンドではなく“自分らしさ”を装う
日本でも帽子を素敵に装っている女性はたくさんいるし、帽子のおしゃれにこだわる女性も増えてきているのではないでしょうか。
でもパリジェンヌたちの帽子のおしゃれはちょっと違う。ハッとするほどとびきりおしゃれな帽子スタイルの女性に出会うのは、パリの街のほうが多い気がします。
それは“トレンド”を装うのではなく、“顔の延長”として自分らしさにこだわった帽子選びをしているからだと気づきました。
パリの女性にとっては帽子とはどんなアイテムなのか。
傑出した工業・手工業の技術を持つ企業に与えられる「EPV(無形文化財企業)」のラベルを持つ帽子メゾン「ロランス・ボシオン」のデザイナー、ロランス・ボシオンさんに、パリジェンヌを代表してお話を伺いました。
教えてくれた“こだわりパリジェンヌ” 「ロランス・ボシオン」デザイナー、ロランス・ボシオンさんパリジェンヌにとって帽子は『i』についているドットのように不可欠なもの
実用性に加え、華やかなデザイン性が魅力的なドレッシーなサマーベレーは、春夏のセレモニーにぴったり。「パリの女性にとって帽子は“シック”を体現するため、そして個性を表現するために欠かせないアイテムです。
いわばアルファベットの『i』の頭についてるドットのように、もしそれがないと“完全さ”を欠いてしまうような存在です。
顔まわりを彩る帽子は、とてもパーソナルなもの。デザインもサイズも色も、その人にぴったりと寄り添うものでなくてはなりません」とロランスさんは語ります。
普段使いにぴったりのストロー素材のバケットハット。ピクニックなどカジュアルなお出かけにも、おしゃれな雰囲気を演出。その日の気分によって、帽子を着替える
「おそらく、日本でもフランスでも、日差しや防寒対策の実用性を意識する日、日常のおしゃれ着のアクセサリーとして帽子を装う日、セレモニーなどドレスコードに合わせた特別な一点を選ぶ日など、様々なシーンがあるでしょう。
ただ日本の女性は、周囲にどんな印象を与えるかということにとても敏感で、こまやかな意識を持っているので、普段使い慣れない帽子を装うことに躊躇してしまう方も多いかもしれません。
パリジェンヌたちはもっと自由に帽子を楽しんでいます。ベレーやカプリーヌ(つば広帽)、マスキュリンな中折れ帽など、多くの女性がタイプの異なる帽子を持っていて、その日の気分や装いによって使い分けています」。