『猫には負ける』
佐々木幹郎 著/亜紀書房 1500円猫が愛しい。猫好きの気持ちをそれ以上でもそれ以下でもなく伝える一文から始まる、詩人・佐々木幹郎さんのエッセイ集。
アパートのベランダに現れた野良猫が産んだ子猫の1匹に、ツイラク(姓)・ミー(名)ちゃんと名づけた詩人。
餌をあげているうちに、いつしか窓から部屋に出入りするようになったミーちゃんが怪我をして戻ってくれば、病院に連れて行って手術を受けさせ、仕事や旅行で家を長く空けるときは、大家さんや同じアパートの住人に、ミーちゃんへの餌やりをお願いする。
駄猫といいつつ、世界でいちばん可愛い、気品のある猫と褒めそやす。
今を生きるだけで十分、そんな幸福な猫の生き方への、詩人の憧れが全編に溢れる。
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『家庭画報』2020年6月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。