旬を愛でる花旅・庭めぐり ガーデニングエディターの高梨さゆみさんが、各地の庭や花のスポットを訪ね歩いた経験から、今見ておくべき旬の花、旬の庭情報をお届けします。
連載記事一覧はこちら>> 旬を愛でる花旅・庭めぐり【番外編】
この春、誰も見ることができなかった夢のように美しい庭を公開!
〜長野 ラ・カスタ ナチュラル ヒーリング ガーデン
安曇野エリアにある「ラ・カスタ ナチュラル ヒーリング ガーデン」。カフェ前に広がるシーズンガーデンでは、美しいチューリップの庭が展開されます。苦渋の決断でオープンを延期。それでも春の花たちは咲き誇ります
北アルプスの麓に広がる安曇野エリアにある「ラ・カスタ ナチュラル ヒーリング ガーデン」。
連載「旬を愛でる花旅・庭めぐり」では感動するほど美しい、と
初夏と
夏の様子をご紹介した庭です。春の訪れが遅いため、庭のシーズンインは毎年4月20日前後で、2020年のオープンは4月18日の予定でした。
ところが4月16日に新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言の対象地域が全国に拡大されることが決まり、それを受け、開園前日に「ラ・カスタ ナチュラル ヒーリング ガーデン」では、今年はオープン延期という決断を下したそうです。
オープン日は未定という連絡と、状況によっては今年1年の休園もあり得るとお聞きして、私はショックを受けました。
なぜなら、この庭ではオープンと同時にチューリップと春の一年草が咲き誇る、心躍るような華やかな景色が展開されるからです。
黄色のビオラとエニシダ、黄色と黒のバイカラーのペチュニア、そしてシックな赤のカラーリーフのヒューケラ、枝垂れるように群れ咲くネメシア。華やかな黄色をメインにしたハンギングバスケットは、春の日差しを浴びて輝くように華やか。冬の厳しい寒さに耐えてきた草花が、眠りから覚めて一斉に咲く生命感あふれる景色は、夢のように美しいだけでなく、見る者の心に元気のもとを注ぎ込んでくれるような力強さがあります。
その景色をこの春は誰ひとりとして見ることができないと思うと残念でならず、悲しくなりました。
しかし、球根の植え付けや草花の育苗など、晩秋からずっと春の庭づくりに精を出していたガーデナーさんの思いを考えれば、私の悲しみなんて小さいもの。苦渋の決断とはいえ、どれだけ悲しく悔しかったことでしょう。
東京で暮らす私も、外出自粛のなか、庭を訪ねることはできませんでした。そこで今回は連載の番外編として、WEB上で2020年の春の「ラ・カスタ ナチュラル ヒーリング ガーデン」をたっぷりとご紹介させていただきます。
来訪を楽しみになさっていた皆さま、どうぞ写真でゆっくりと春爛漫の庭めぐりをお楽しみください。
入り口のアイアン製の扉には、お客さまをお迎えするハンギングバスケットが季節ごとに飾られています。オープンしていない今年もそれは変わらず。さあ、門を開けて、美しい春の庭へ歩みを進めてください。