人生を楽しむライフスタイルの拠点「豪邸拝見」 第5回(全10回) 人生で成功を収め、社会的な立場が上がっていくと、住まいは、「家族の器」としての本来の機能から拡大し、「社交の場」としての役割も求められるようになってきます。住まいという最も私的な場所にゲストを招くという行為は、それだけでもろ手をあげた最大限の友好の表明。それゆえにゲストとの親密度は一気に増します。心を開き、共通の友人を招いて、家族ぐるみのおつきあいをする──そのことで人生はよりいっそう潤いを増します。住まいを拠点に人生を貪欲に楽しむ人々を追いかけました。ここで養う英気が、次の幸運を引き寄せます。
前回の記事はこちら>> ガーデンパーティでおもてなし
── N邸(愛知・名古屋)
屋根と壁で囲まれたガーデンテラスは、真夏や雨の日も心地よく過ごせる空間。【Relaxing Garden】
オープンテラスで
四季折々の自然にくつろぐ
キッチンカウンターを設けたことで手際よく料理を出せるように。壁面と同じスギ板型枠コンクリート打ちっ放しで空間を統一。名古屋市内の閑静な住宅地に建つN邸に特別な時間をもたらしてくれるのは、緑豊かな庭にしつらえたオープンテラスです。
開業医として多忙な日々を送るご夫妻が、庭を眺めながら趣味のワインや音楽を楽しめる家にしたいと、設計を「GA設計事務所」に依頼し、建築家の玉木直人さんよりこの空間が提案されました。
つくばいをオープンテラスの水場として利用。おもてなしの日には、花や置き物をコーディネート。庭は自然のうつろいが感じられる造園を得意とする荻野寿也さんが担当し、住まいは敷地の北側と西側にL字形に配置されています。
普段は夫婦2人で静かに暮らし、友人が集えばこのオープンテラスが即座におもてなしの空間に早変わりします。
天板にアサメラの一枚板を用いたテーブルは岐阜の「藤岡木工所」にオーダー。招かれたゲストは、玄関からそのまま庭に移動でき、プライベートスペースを通ることなくオープンテラスへ。
住まいのほうから見ると離れのような存在で、庭とレベル差をつけて高くしているのでステージのようにも見える、開放的な空間です。
テーブル花や器もナチュラルスタイル。約30平方メートルのスペースに大勢のお客さまを迎えるための大テーブルとミニキッチンを配し、雨風がしのげるルーフと2面に壁を設け、音楽を楽しめるように天井にスピーカーも設置されています。
友人を招くときは、Nさんがワインと音楽、奥さまが料理でもてなし、緑陰のガーデンパーティが始まります。
庭をはさむようにL字形の住まいとオープンテラスを配したN邸。ゲストは敷地内を自由に行き来でき、テラスと庭のすべてがおもてなしの空間に。