本社の南門を入った左手にある樹齢700年を超す「砂ずりの藤」が満開を迎える。以前は花房が2mにも及んで地面にすれるほどであったことから、その名がある。今は棚で枝受けをしているので、その艶なる花房の浪を間近に仰ぎ見ることができる。
花の香気に誘われ、風雅の極みへ
藤の木は地上が蔓であるのと同じく、地下の根も蔓です。元気な木であれば根は
30mにもなります。その根を切らないように大切に手当てしてようやく見事な花盛りを迎えるのです。一方、山肌の藤は自然のまま。祈る思いで迎えた花どき、山肌には蔓をしなわせた無数の藤が今年も溢れるほどの見事な花を咲かせます。
境内の華やぎと、山懐の藤浪の力強くもひたむきな佇まい。その二つをともに体感できるのは、春日山原始林に抱かれたこの社だからこそといえるでしょう。