花は、自然が与えてくれた生命の輝き。その美しさに触れるとき、誰もが幸せな気持ちになります。今年のゴールデンウィークは、花参詣に出かけてみませんか。ゴールデンウィークに見ごろを迎える花々に出会える「花の寺、花の社」。第3回は山間に咲く三葉つつじが美しい京都の楞厳寺です。
*花ごよみはあくまで目安です。花の咲く時期は前年の天候や直前の寒暖に左右され、前後にずれることがありますので、ご確認ください。
蓮池の先に広がる三葉つつじは、広さ13,000㎡もの山一面に群生。1株から30本ほどの枝が出て、花が密に咲き競う姿が美しい。つつじ山にはあちらこちらに仏像が祀ってあり、花のトンネルを歩きながら、四国八十八箇所巡りを疑似体験することもできる。
桜とともに愛されてきた、深山を染め上げる紅紫の花
~三葉つつじ~ 楞厳寺(京都)
日本人の心の花といえば、まず浮かぶのが桜ですが、万葉の頃、並び立つように愛されたのがつつじ。「つつじ花にほえをとめ、さくら花さかえをとめ」の歌からも、原風景にあったことが偲ばれます。園芸種として親しまれる常緑性のつつじに対し、三葉つつじは落葉性。深山つつじとも呼ばれ、山間に咲く野趣が魅力です。葉に先駆けて、細い枝先に花をつけるので、冬景色を一気に紅紫に染め変えていく華やぎがあります。
京都でも自然豊かな地にある楞厳寺には、蓮池の向かいの山に数千株が群生し、水面に映り込む景色はまさに幽玄。「
11月末には、毎年
200人を超える檀家のかたがたが総出で、雑木を払い枝を間引いて手入れをしてくださいます。ご奉仕あっての景色なのです」とご住職。
Information
楞厳寺(りょうごんじ)
京都府綾部市舘町楞厳寺6
アクセス | JR山陰本線綾部駅から車で10分 |
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拝観料 | 200~300円(志納料) |
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TEL | 0773-47-0043 |
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拝観時間 | 8時30分~17時 |
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花ごよみ | 4月中旬~下旬 |
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- 聖武天皇時代の732年に林聖上人が開基となった高野山真言宗の寺院。長井一禾による四季の鴉が描かれた襖絵で知られ、丹波のカラス寺の愛称をもつ。関西花の寺霊場第2番でもあり、桜から紅葉まで四季の花々が楽しめる。
「家庭画報」2014年5月号特別付録掲載。 この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。