歴史とともにある美しい日常 ベルギーの城に暮らす 第2回(全3回) 貴族の住まいとして現役で使用されている城から、公共施設として市民に愛される城まで。九州とほぼ同じ広さの国土に大小合わせて約3000もの城が現存するというベルギーでは、歴史を宿し、贅が尽くされた美しい城が人々の日常に溶け込んでいます。さまざまなかたちで親しまれている5つの城を訪ねました。
前回の記事はこちら>> ※以下の記事は、『家庭画報』2020年6月号取材当時の情報です。開場状況等は変更となっている場合もありますので、最新情報は公式ホームページ等でお確かめください。 “レイエ川の真珠”と謳われる美しき居城に暮らす
オーイドンク城
アンリ・トキント・デ・ローデンベーク伯爵と、コラリー伯爵夫人。フレミッシュ・スペインルネサンス様式の円形のサロンにて。伯爵夫妻の尽力により
かつての華やかさを保つ城
濠に囲まれた城の正面。左右端の玉ねぎ形の屋根をもつ円形の塔がこの城の特徴。奥にも同じ形の塔が2つあり、正方形に配置されている。城門を抜けて進むと、おとぎ話のような、という形容がぴったりの光景が眼前に現れます。1595年に建てられたこの城は、ルネサンス期に登場したフレミッシュ・スペインルネサンス様式という建築様式で、玉ねぎ形の丸い塔が特徴。
1864年、上院議長と国務大臣を務めたアンリ・トキント・デ・ローデンベーク上院議員が購入後、代々修復を行いながら住み続けられ、現在は6代目で同名のアンリ・トキント・デ・ローデンベーク伯爵とコラリー伯爵夫人、3人の息子が暮らしています。
コラリー伯爵夫人が結婚式前夜に宿泊したベッドルーム。隣のコネクティングルームには、妹さんが泊まったという。結婚後、コラリー伯爵夫人がインテリアを全面的に修復し、一部の完全なプライベートゾーンを除いて、一般見学を可能に。国の要人や一族が集うパーティなどに今も実際に使用されている、12室あるレセプションルームをはじめ、チャペルやサロン、ゲストルームなども見学できます。
ダイニングルーム。「インテリアに中国風のテイストを加えました」と、改装を一手に担ったコラリー伯爵夫人。修復にあたり「歴史と現代生活、芸術と快適さを調和させたうえで、家族のプライベートなタッチを加えたかった」とコラリー伯爵夫人。まさに21世紀における“城の暮らし”を体現する一家です。
Information
オーイドンク城
Ooidonkdreef 9, 9800 Deinze
- 城内見学 2020年4月1日~9月15日までの日曜・祝日のみ。 開場時間:14時~17時30分 入場料:10ユーロ 庭園見学 開園時間:9時30分~18時(火曜のみ13時~) 11月~2月は10時~17時月曜定休 入場料:2ユーロ
*掲載した開園時期・時間、イベント開催期間などの情報は、変更の可能性があります。ウェブサイト等でご確認下さい。
撮影/小野祐次 構成・文/安藤菜穂子 協力/ベルギー・フランダース政府観光局
https://www.visitflanders.com/ja/『家庭画報』2020年6月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。