日ごとに近づく梅雨の気配とともに、美しく色づいていく紫陽花。
6月は、紫陽花を巡る「鎌倉さんぽ」に出かけてみませんか。今回は鎌倉駅のお隣、北鎌倉駅からそぞろ歩いて訪れたい、艶やかな紫陽花寺の名所をご紹介します。
山と海に囲まれた古都・鎌倉には、紫陽花寺と呼ばれるお寺が少なくありません。紫陽花の母種である額紫陽花は、伊豆半島から房総半島にかけてが自生地。海沿い地に吹く潮風による塩害に強く、山陰の湿った土壌でもよく咲き、斜面地では土留めの役割も果たすため、土地にふさわしい植物といえるでしょう。
北鎌倉にある明月院
(上写真
)では、鎌倉石を積み上げた階段を縁取るように青紫の花が揺れるさまが印象的。そのほとんどは牧野富太郎博士が発見し命名した、日本古来の姫紫陽花です。楚々とした花姿は古寺にいっそうの趣を添えるよう
東慶寺では、ひと足早く色づく山紫陽花、その後の西洋紫陽花、特徴ある柏葉紫陽花などに加え、岩莨
(いわたばこ
)や花菖蒲などその他の花々との競演も見どころです。
裏山を埋めるように山紫陽花が群れる浄智寺では、珍しいおたふく紫陽花や、秋口になると玉紫陽花にも出会えます。切り通しなど鎌倉らしい散策路沿いのあちらこちらにも咲く紫陽花。花に誘われての散歩の楽しさはひとしおです。
明月院(めいげついん)
臨済宗建長寺派の寺院で、上杉憲方が開基、密室守厳が開山。境内には北条時頼廟や鎌倉十井の一つである「瓶の井」などがある。戦後の混乱期に参拝者を慰めるために紫陽花を植え、早くから名所として知られる。
住所:神奈川県鎌倉市山ノ内
189TEL:
0467-24-3437交通:JR横須賀線北鎌倉駅から徒歩10分
花ごよみ:紫陽花
6月上旬~下旬、花菖蒲
6月上旬~中旬