音楽の世界の幅広さを楽しもう♪
ナビゲーター/ピーター・バラカン(ぴーたー・ばらかん)ブロードキャスター。1951年、ロンドン出身。ロンドン大学日本語学科を卒業後、74年に音楽出版社の著作権業務に就くため来日。現在フリーのブロードキャスターとして活動。『Barakan Beat』(InterFM897)をはじめ、レギュラー番組多数。著書に『ロックの英詞を読む―世界を変える歌』(集英社インターナショナル)、『ラジオのこちら側で』(岩波新書)などがある。2019年のベストワンといえば、これ
ライス・レコード 2500円+税アワ・ネイティヴ・ドーターズ
『ソングズ・オヴ・アワ・ネイティヴ・ドーターズ』
リアノン・ギデンズを中心に、メンバー全員アフリカ系アメリカ人女性。
アフリカにルーツがあるという楽器「バンジョウ」などを演奏しながら歌うのは、人種差別や女性蔑視などをテーマとした曲。
メッセージ性の強いアルバムだが、4人のハーモニーが素晴らしく、内容がわからなくても楽しめる。僕にとって昨年のベストワンアルバム。
聴くだけで、文句なしに明るい気分に!
ビーンズ・レコード/アオラ・コーポレーション 2500円+税VARIOUS ARTISTS
『レヴィ・レヴィ―1970~80年代サントメ・プリンシペの音』
「レヴィ・レヴィ」とは、ラテン系の言葉で「イケイケ」といった意味。
西アフリカのサントメ・プリンシペという小さな島国に根づくクレオール音楽を集めた本作は、その言葉どおり理屈抜きで楽しい、ご機嫌なアルバムだ。
収録された16曲の音源は、どれも1970年代から80年代のもの。聴いていると、自然に体を動かしたくなる。
深々と歌い上げるキャンディスが魅力
ユニバーサル ミュージック 2600円+税キャンディス・スプリングズ
『私をつくる歌 ~ザ・ウィメン・フー・レイズド・ミー』
実力派シンガーのサードアルバム。タイトルどおり、本作は彼女がこれまで刺激を受けたという女性シンガーたちの名曲をカヴァーしている。
その中にニーナ・シモーンやエラ・フィッツジェラルドなど昔のシンガーの曲が混じっているのはキャンディスが幼少期から音楽に親しんできたことが影響している。
味のあるピアノと成熟した歌声が魅力。
独特の色気で歌い上げる「セヴダ」
ライス・レコード 2600円+税ダミール・イマモヴィッチ
『シンガー・オヴ・テイルズ』
ボスニア・ヘルツェゴビナの首都サラエヴォにはセヴダと呼ばれる大衆音楽があり、イマモヴィッチはセヴダの伝統を継承する音楽家として知られている。
トルコで古くから使われる「サズ」という弦楽器を弾きながら歌う彼の声には色気があり、女性なら誰しも魅了されそう。
演奏も素晴らしく、バルカン音楽の深みを堪能できる。
『家庭画報』2020年7月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。