夏を、祇園祭を彩る暮らしの花活け
祇園祭のせわしない日が続く中でも、日々の暮らしを大切にされている桑原さん。夏座敷にしつらいを替え、簾を吊ったり葦障子に替えたりして、涼しげに暮らす段取りをします。また、仕事柄、花はどんなに忙しくとも欠かさず丁寧に扱い、祇園祭にちなんだ花が自宅の随所に飾られます。「京都に暮らすということは、この暑さを受け入れて暮らすということ。祇園祭は暑くて難儀やなあといいながら、この暑さと上手につきあうのが京都なんでしょうね」と語ってくれました。
桑原さんはお料理が上手なので、撮影時の料理は本当に楽しみ。祇園祭は昔から鱧祭ともいわれ、鱧の落としや棒ずしは欠かせません。宵々山から三日間の“お決まり”の家族の献立、お客さまがいらしたときのもてなしの料理、涼を感じるお茶とお菓子まで。取材ながら、私たちも存分に楽しませていただきました。教えてもらったこと、続けてきたこと、伝えていきたいこと。桑原さんが大切にしている暮らしの姿を、ぜひ誌面でご覧ください。
左/朝に咲き、夜にはしぼむ。一日しか咲かない祇園守りというムクゲ。中/祇園祭に欠かせない祭り花のヒオウギ。右/浄妙山を描いた軸の前には、5種類のテッセンとナツハゼを。
京都取材の醍醐味~夏~
京都取材の帰りの新幹線内でいただく、たまごサンドと双璧をなすグルメといえば鯖寿司。これもいくつかのお気に入りがありますが、
「美碧」の鯖寿司
(前日までに要予約
)は好きですね。
2017年
3月号「レジェンド・レシピ」にご登場いただいた「下鴨いち満」
(TEL:
075-791-0101)も、手まり寿司、笹巻き寿司、鯖寿司がおいしいです。取材時には、よくこちらに折り詰め弁当をお願いしています。いかにも京都らしい、はんなりとして愛らしいお寿司です。
熱い祇園祭に明け暮れて、暑い夏を過ごした
2016年。自分で言うのもなんですが、本当によく歩きました。「家庭画報 公式インスタグラム」に投稿した山鉾巡行の写真は、もう半年以上も前なのですね。祇園祭のときに限らず、京都取材中はよく歩きます。地図は頭に入っているし一方通行も多いので、距離によっては車よりも歩くほうが早い場合があります。インターネットが発達していない頃は、どんな細い筋もすべて歩いて店を見つけていました。足で稼いだ情報は多かったですし、今でも新しい店ができるとすぐわかります。広すぎず狭すぎない、京都らしい道を歩く楽しみはここでしか味わえないことかもしれません。古門前通の南北に走る筋を歩いていくのも好きです。家と家との路地のような猫道をどこまでも……たまに行き止まりだったりもしますが
(笑
)。
『家庭画報』2017年3月号掲載 この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。