自分とリンクする部分を広げて役に投影
劇中、野原は音楽や映画、文学、格闘技の知識が豊富だと語られますが、彼のバックボーンに触れられるのはそのことのみ。寛一郎さんは、野原をどんな人物と捉えていたのでしょうか。「すごく感情的なことになりますけど」と前置きした上で、原作の小説を読んだときの印象を話してくれました。
「又吉さんは、人の感情の機微を描くのがすごくうまいんです。だから、野原という人物に対して、ふんわりと彼の感情、心情みたいなものが理解できた部分があって。永田のことを達観していたり、どこか俯瞰していたり。なぜかというと、野原は知識が豊富だし、永田のことをよく知っているから。ただ、野原は自分のことになると、そうはいかない。野原のことを一番よくわかっていないのが野原で。……というのは、原作には描かれていないんですけど、そういう部分があるのかなって思っていました」
野原役を演じるにあたっては、彼の感情、心情を理解できるところがあるがゆえに、「自分とリンクする部分を広げていって、野原という人物に投影しました」。撮影時には、永田役の山﨑賢人さんから「親友役だから、タメ口でいこう」と言われたそうで、そうすることで「演じやすい環境を作ってくれました」。また、「野原は永田が好きだし、永田も野原が好き。僕も人として山﨑賢人くんが好きなので、勝手に整合性がついていきました」。
劇中では制服姿も披露。「僕としてはまだいけると思ってるんですけど。でも、映像として観ると、ちょっとないよなと思いました(笑)」