上質なヘアブラシを持つことは大人の女性の嗜み
シャンプーやコンディショナーの質には少々気を使っていたものの、これまでヘアブラシには全くの無頓着だった私。
カミーユさんに良質なブラシの条件について尋ねました。
「私のメゾン『Guêpes & Papillons』では、動物の毛やホーン、ウッド、シルクなどを使用した天然素材のブラシやコームのみを提供しています。
髪に輝きをもたらすイノシシの毛は大人向けのブラシに、またイノシシよりも柔らかな豚の毛を使用したブラシは家族全員で共有でき、生まれたばかりの赤ちゃんから7歳くらいまでの子供向けには、とても柔やらかいヤギの毛を使用した特別なブラシをご用意しています。
幼い頃から優しくブラッシングすることで、髪の良好な成長を促し、赤ちゃんにはとても気持ちよくリラックスできるマッサージにもなります。
また動物の毛やホーンは、ケラチンつまり髪と同じ構成のたんぱく質からなる素材です。それらを使用したブラシやコームは、私たちの頭皮から分泌される皮脂により栄養を与えられ、それを髪の先まで運んでくれるのです。
また、帯電を防止する特性があり、キューティクルの広がりを抑制し、髪の輝きを生み出すのです」。贅沢な一品には、美しい髪を育むための条件が詰まっているようです。
優美なシルクのボックスに入ったヘアブラシ&コームのセットは、自分へのご褒美やギフトとしても人気。ヘアブラシとともに洗練されたエレガンスを継承
「私がヘアブラシの世界に引き込まれたのは、曽祖母が愛用していたとても美しいヘアスタイリングキットに出会ったことがきっかけでした。
そのブラシの数々を受け継ぐことは、まさに繊細なエレガンスを受け継ぐという儀式のようなものでした。
曽祖母のヘアブラシたちは、祖母に受け継がれ、彼女は長年自分の化粧台に納めて愛用し、そして私へと引き継がれたのです。
そのフランス的なエレガンスを多くの人に伝えたい、という思いが、私を『Guêpes & Papillons』の創設へと駆り立てたのです」
とても柔らかなヤギの毛を使用したブラシは、生後間もない赤ちゃんに使えるものも。優しくブラッシングすることで、マッサージ効果をもたらし、赤ちゃんもリラックスして眠りにつくことができるそう。また頭皮の血行をよくしフケを取り除き、髪に柔軟性と輝きを与えることで、健康な頭皮と豊かで美しい髪を育みます。出産祝いにはベビーシューズとセットで贈るのも素敵。美しいヘアブラシは心を豊かにするツール
カミーユさんの家族に伝わる素敵なエレガンスの継承に象徴されるように、美を磨くための習慣に加え、優雅なブラシの意匠も、幸せな気分にさせてくれます。
「『Guêpes & Papillons』のブラシやコームは、熟練の職人たちの手により、一つひとつ丁寧にで作られています。
そしてそれぞれの商品にはアルファベットを刻むことができ、パーソナライズすることで、あなたの生活の中で特別な物語を紡ぎ出すアイテムとなってくれるはずです」。
髪を丁寧にケアする時間が、自分を慈しむ心へと繋がって──。また一つパリジェンヌの奥深い美意識に触れた気がしました。
ムスタッシュ形のブラシは、男性のヒゲのお手入れのためのもの。遊び心のあるアイテムは、家族やパートナーへのギフトに最適。 教えてくれた“こだわりパリジェンヌ”
カミーユ・ルヴィエさん自身の曽祖母が愛用していた、17世紀から18世紀のベルサイユ最盛期の美意識が投影された美しいヘアスタイルキットに感銘を受け、ヘアブラシ&ヘアジュエリーを専門としたメゾン『Guêpes & Papillons』を創設。2015年4月にパリ16区、ヴィクトル・ユゴー通りの凱旋門の間近にブティックをオープン。こだわりのアイテムが数々の有名メディアでも取り上げられるなど話題に。
Information
Guêpes & Papillons「ゲップ エ パピヨン」
12 avenue Victor Hugo 75116 Paris
+33 1 45 00 31 68
営業時間11時〜19時
定休日:日曜、月曜
ブラシは約68€~
https://www.guepesetpapillons.fr
ルロワ 河島 裕子 / Hiroko Kawashima Leroy
ファッションライター。『家庭画報』をはじめ大人の女性に向けた雑誌で、ファッションやジュエリー、時計を中心に幅広く執筆。2018年より、家族とともに、拠点をフランス北部の田舎に移す。2019年夏、ついに憧れのブルゴーニュに家を購入! 夢は夫とともにB&Bを営むこと。パリで道ゆくおしゃれな人に体当たり取材する「
パリ、大人のおしゃれの見本帳」、行き当たりばったりのフランス移住エッセイ「
意外となんとかなる!? 40代のフランス移住」を同サイトで連載中。
表示価格はすべて税別です。 写真/井田純代 編集・取材・文/ルロワ河島裕子