細菌性膀胱炎を繰り返すと膀胱が障害されハイリスクに
泌尿器科 上田クリニックは、全国でも珍しい排尿障害の治療を専門とする医療機関です。
院長の上田朋宏先生は“謎の膀胱炎”といわれる間質性膀胱炎の診断基準の確立や新しい診断・治療法の開発に長年にわたって取り組み、この分野の第一人者として国際的にも知られる存在です。
同クリニックの受診者のうち、8割は間質性膀胱炎の患者で、2012年の開院以来、上田先生は4000人以上の診断と治療にあたってきました。
間質性膀胱炎は膀胱上皮(尿が接触する表面粘膜)の防御機構が失われ、膀胱粘膜の下にある間質に尿が染み込んで慢性的な炎症が起こる病気です。
その結果、膀胱が萎縮し、尿が溜められなくなって頻尿、尿意切迫感、尿意亢進、残尿感などが出現します。また、排尿を我慢すると膀胱痛や膀胱不快感が生じます。
これらの症状によって生活の質が著しく低下してしまうのが大きな問題で、日常の行動が制限されるだけでなく夜眠れないといった状態にもなります。
この病気にかかるのは中高年女性が圧倒的に多く、同クリニックの場合も9割を占めます。
「女性は尿道が短く細菌が侵入しやすいため膀胱炎になりやすいのです。間質性膀胱炎の患者さんの背景をみると細菌性膀胱炎を繰り返してきた人が少なくありません。しっかり治さずに慢性化することで膀胱が障害され、間質性膀胱炎に移行すると考えられます」と上田先生は指摘します。
ちなみに男性の場合は前立腺炎から間質性膀胱炎に移行することが多いそうです。