とくに大がかりな撮影となったのは、餅花をしつらえていただいたお正月の玄関。白と淡い紅色の餅を小さくちぎってつけていく餅花は、西村さんの長女 舞さんが妹さんと
2日かけて制作。紅色が薄く、餅が小さめなのが柊家の餅花の特徴です。
200年の歴史や古きものを生かし、新しいものを柔軟に取り入れた新館の広間に集う柊家の女性
3代。右から、西村さんの母 時枝さん、長女 舞さん、西村明美さん。時枝さんは、こういう言い方はふさわしくないかもしれませんが、かわいいおばあちゃま。大女将を訪ねていらっしゃるお客さまも多く、今でもお客さまへのメッセージをカードに記すのは時枝さんの仕事です。古きものの知恵と新しきものの力を活かし、はんなりともてなされる明美さんと舞さん。協力し合う女性
3人の姿に、これからの柊家への期待が高まりました。美しい冬のしつらいと料理を、ぜひ誌面でもご覧ください。
旅館での撮影は、当然ですがお客さまにご迷惑がかからないように行います。観光シーズンながら、私どもの取材にご協力いただいた柊家の皆さまには、あらためて感謝申し上げます。
一年におよぶ京都取材を終えて
京舞、華道、お寺、宿という、京都ならではの仕事に携わる4人の女性たちにご登場いただいた今回の大特集。季節ごとの行事と日々の暮らしの中で、ご先祖さまから受け継いだことを自らも行い、次の世代へと伝え繋いでいく。それこそが自分の生きる意味であり、自分の役割であると考えていらっしゃるようでした。京を愛する心が育んだ、深くて強い美しさ。京都の女性たちに支えていただいた、私の2016年が終わりました。
『家庭画報』2017年3月号掲載 この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
