スタイリストのおおさわ千春さんが大人の女性が手にすべき「本物」をご紹介するこの連載。ご自身の体験談をもとに、迷い世代の日常に必要な“ブランドの力”をどう取り入れるべきかを指南いただきましょう。第12回は、M・fil(エムフィル)の大人気パンツ「イージートラウザーズ」の新作から、おおさわさんのおすすめのパンツコーディネートをご紹介。
前回の記事はこちら>> 〔迷い世代の服選び〕
40代にこそ効く「ブランド力」
第12回 M・fil(エムフィル)
「ウエストゴムのパンツははかない主義」だった私のこだわりを覆す出合いとなったM・fil(エムフィル)の「イージートラウザーズ」。M・filとは、オートクチュールやセミオーダーをメインとし、上質な素材とシンプルを極めたデザインで長く愛せる服を作ることで知られるMIKAKO NAKAMURAのデイリーライン。
私がこのパンツに出合ったのは5~6年前ですが、発売はちょうど10年前の2010年。発売当初は、たった1型、1素材からスタートしました。
イージートラウザーズコレクションは、どれも、季節を問わずに大活躍。「私は、まずパンツを買ってから、同素材のトップスを追加で買うことも多いです。セットで揃えておくと、小物などでドレスアップした装いもアレンジでき、コーディネートの幅が更に広がります」。それまでは、ウエストゴムのパンツと言えば、カジュアル一辺倒。しかし、このパンツは、「キレイだけれどはき心地はリラックス」というのがそもそものコンセプトだそう。「楽」ありきではなく、「キレイ」ありきで作られたパンツだと聞いて、やはり私の解釈は間違っていなかったんだなと納得しました。発売後すぐに評判となり、オーダーが殺到。徐々にデザインや素材の幅を広げて、今はマスターピースと呼ばれる定番の5型に加え、年に4回新作が発表されています。
「キレイ」の理由は
上質な素材選びから
第11回でも触れましたが、このパンツの美しさの原点になっているのが素材だと思います。例えば白のパンツは透けない素材を研究したり、ワイドなら流れるような落ち感のある素材を吟味するなど、素材の良さを追求したモノ作りは、MIKAKO NAKAMURAと同じ。
また、ブラックに統一されたウエストゴムは、太さをデザインによって替え、カラーパンツの場合もあえて生地の色とは異なる黒にすることで、まるでベルトをしているように見える効果があります。今やこのパンツの大ファンを自認し、10本近くを所有する私が今季おすすめの新作をご紹介しますね。
ロングスカート感覚が新鮮!
ドレープが美しいタックワイド
ボトムスにボリュームがあるので、トップスはコンパクトにウエストインして。靴は華奢なポインテッドトゥなどを選ぶとバランス良く見えます。パンツ2万8000円 ブラウス3万8000円/ともにM・fil(ミカコ ナカムラ 南青山サロン)イージートラウザーズの中でも、目新しいデザインがこちら。たっぷりとした量感があり、歩くたびにゆらゆらと揺らめくドレープがとてもエレガント。ロングスカートの女らしさとパンツのアクティブさが同時に味わえるデザインです。ブルーの何とも言えないスモーキーな色味もM・filならではで、私の大好きなグレーとも相性抜群。