撮影中は、阿部さんの言葉にうなずいたり、笑ったりの奥平さん。ハードな内容の作品ながら、現場は和やかな雰囲気だったという。——本作は、親子って何なんだろう?って改めて考えさせられる作品だと阿部さんはおっしゃっています。この作品に出演して、親子というものへの考え方は変わりましたか?
阿部:タイトルにもなってますけど、マザー。お母さんってすごいんだなって。セリフで分身だ、みたいなこと言ってるシーン、あったよね?
奥平:ありました。
阿部:自分の体の中から出てきたって、それがすごく強いんだなって思って。お父さんよりお母さんの言うことを聞くっていうのは、そういうことなのかなって感じがしましたね。
奥平:たしかに。お母さんっていう存在は大きいんだなって、改めて思いました。
阿部:考えさせられますよね。周平にとって本当に頼れるのはお母さんしかいなくて、でも冬華にとっては周平しかいなかったんじゃないかって思うし。周平も冬華のことを心配してましたもんね。
——奥平さんも妹さんがいらっしゃるんですよね。
奥平:います。前はケンカも多かったんですけど、撮影してから、ちょっと優しくするようになりました。
阿部:いいことだね。やっぱり家族には優しくしますよね。自分の怒鳴り声とか聞いてて、子供を叱るのって怖いなと今回思いました。あんなに怒鳴ったことないけど、相手を嫌な気持ちにさせるじゃないですか。それが嫌だなって客観的に観て思いました。
——では最後に、これから作品をご覧になる方にメッセージを。
奥平:この映画を通して、実際にこういうことがあって、こういう子がいるんだよっていうことを知ってほしいなって。映画を観て、気持ちをその人に向けたり、その人の立場になってちょっと考えてみるとかでもしてもらえたらいいんじゃないかなと思います。
阿部:取材とかで話していても、この映画に対して答えが出ないんですよね。僕は、ちょっと声をかけるだけで救えることが、この世の中にはけっこうあるのかもしれない。そういうことを少し考えられたらいいなっていう感じですかね。……難しいんですけどね。正解がないですから。
奥平:観る人の立場によっても考え方が変わりますよね。
阿部:お金持ちが観るのか、幸せな家族が全員で観にいくのか。でも、もしかしたら隣の家がそうだったかもしれないし。そういうことをうっすら感じてもらえたらいいですよね。
阿部サダヲ/Sadawo Abe
奥平大兼/Daiken Okudaira
阿部サダヲ/Sadawo Abe俳優
1970年4月23日生まれ、千葉県出身。92年に大人計画の舞台『冬の皮』でデビュー。以来、幅広く活躍。バンド「グループ魂」のボーカル・破壊としても活動する。主な近作に、大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺(ばなし)〜』、映画『決算!忠臣蔵』などがある。
奥平大兼/Daiken Okudaira2003年9月20日生まれ、東京都出身。初めてオーディションを受けた映画『MOTHER マザー』で周平役に抜擢され、スクリーンデビューを飾る。趣味は芸術鑑賞、クラシックピアノなど。特技でもある空手は、6歳から始め、12年に全国武道空手道交流大会「形」で優勝。
『MOTHER マザー』
監督:大森立嗣
脚本:大森立嗣 港 岳彦
出演:長澤まさみ 阿部サダヲ 奥平大兼 夏帆 皆川猿時
仲野太賀 木野 花
配給:スターサンズ/KADOKAWA
7月3日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国公開
公式サイト
https://mother2020.jpⒸ2020「MOTHER」製作委員会