ひら仮名のさだまさしと僕自身は別の人格
表題曲「存在理由~Raison d’être~」も新曲だ。去年の2019年2月に書かれたそうだが、思いもしない災害にいつ見舞われるかもしれない日々の中、諦めずに自分にできることを考え、大切な人の無事を祈るという内容の歌詞が、とても切実に胸に響く。
「姉貴のように思っている加藤タキさんが、僕のチャリティコンサートを観て“これこそがあなたのレゾンデートルです”とメールを送ってくれたことがあるんです。
被災地で歌い、チャリティを行う自分の活動は、歌い手の領分を超えているのかなと不安に思っていた僕の背中を“間違ってないわよ”と押してもらったように感じました。それが心に残っていたこともあって、タイトルにしました」
その歌の歌詞と同様に、「僕もやっぱり、何かが起きると、自分に何ができるかを考えますね」とさださん。そう考えるようになったきっかけは、東日本大震災だという。
「僕が行ったところで、きっと何の役にも立たない。それでも被災地の皆さんを応援したくて、ギターを持って歌いに行ったら、喜んでくださるかたがすごく多くて。
そうか、ヒット曲はこういうときのためにあったんだな、有名人になる意味もこういうことのためにあったんだ。これは今、さだまさしの使い時じゃないかな、と思ったんです」