柄本 弾/つかもと だん(バレエダンサー)1989年、京都府出身。5歳よりバレエを始め、2008年東京バレエ団に入団。10年『ラ・シルフィード』、『ザ・カブキ』で主役を射止め、12年『ザ・カブキ』パリ・オペラ座公演で主役の由良之助を演じた。13年にプリンシパルとなる。故モーリス・ベジャール代表作『ボレロ』を踊ることを許された唯一の日本人男性ダンサー。1.軽快なリズムに煽られて体が動く
ワーナー・クラシックス 1400円+税クリュイタンス指揮
『ビゼー:アルルの女 第1組曲 第2組曲 カルメン組曲』
東京バレエ団の『アルルの女』初演時に、主人公・フレデリを演じました。
この作品は時間としては短いものの内容はハードで、その場にいない女性があたかもそこにいるかのように表現するという内面の演技が求められました。
クライマックスに流れる「ファランドール」という勇壮な舞曲に突き動かされるように演じたことを思い出します。
2.自分の第2章はこの曲から始まった
ワーナー・クラシックス 1400円+税クリュイタンス指揮
『ラヴェル:ボレロ ─ラ・ヴァルス─ スペイン狂詩曲』
モーリス・ベジャール振付のバレエ作品『ボレロ』では、主役は舞台中央の赤い盆の上で踊ります。
念願かなって僕が主役を演じることになったのは2015年。野外ステージでしたが、あいにくの雨で思うように踊れず悔しいデビューになりました。
けれど、そこには学びがあり、この曲からダンサーとしての次章が始まったと思っています。
3.気持ちを前に向かせるための一曲
ワーナーミュージック・ジャパン 1200円+税高橋 優
『明日はきっといい日になる』
プライベートでは邦楽もよく聴きます。特に最近は、自炊しながら音楽をかけるのがルーティンです。
高橋 優さんのこの曲は、聴くとポジティブな気持ちになれるので本番前や舞台が終わった後にかけることが多いですね。
少し視点を変えることで見方が変わるものなので、プライベートで聴く邦楽がバレエにも役立っていると思っています。
4.舞台で感情移入して泣いた唯一の作品
キングコード 2700円+税『プロコフィエフ:ロメオとジュリエット』全曲
ジョン・ノイマイヤー振付による『ロミオとジュリエット』は、これまで演じた作品の中でも特別なものです。
なぜなら終盤、仮死状態になったジュリエットを見たとき、ロミオ役の僕は感極まって舞台上で本当に号泣してしまったので。
それもすべては振付の構成が繊細だったため。今でもこの曲を聴くと切ない気持ちになります。
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取材・構成・文/冨部志保子
『家庭画報』2020年8月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。