大自然が届ける未来へのメッセージ
文/川野泰周(林香寺住職・精神科医)暑さ厳しき夏の盛り、野山を駆け巡り軒下を吹き抜ける一陣の涼風は、どれほど心地良いものだったでしょうか。
僧堂(修行道場)で暮らしていた頃、汗だくになって畑を耕したあとに蛇口から飲んだ水の美味しさは、どんな高級な煎茶にも勝るものでした。
現代ではエアコンが作り出す「ちょうど良い空気」の中で過ごすことができますが、そんな便利な道具を動かすために排出された気体が、地球をますます暑くて住みにくい星にしつつあります。
薫風が運ぶ大地の声に、森羅万象の歌に、耳を傾ける時が来たのかもしれません。
『家庭画報』2020年8月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。