京都&パリ ひみつの美味案内 世界の食都、京都&パリ。地元のグルメな方々に、現地に暮らすからこそ知っているおすすめの美味をこっそり教えていただきます。
記事一覧はこちら>> ※新型コロナウイルスの影響により、営業時間等に変更が生じる場合があります。最新の営業状況は、お店の公式ホームページ等からお確かめください。 【7月の美味案内】
涼やか和菓子で夏のご挨拶
(取材・文/西村晶子)
選りすぐりの素材に技と感性をもって季節感を取り入れ、店ごとの味を表現する京都の和菓子司。それぞれの銘菓がありますが、夏の定番菓子といえば、鮎を模した「若あゆ」。いろいろなお店で見かけますが、今回は、思わず微笑んでしまう愛らしい「若あゆ」をご紹介します。
若手菓子職人が自家製の生地とお餅で作る
お茶目な「若あゆ」
しっとり感のある焼き生地で雪平を包んだ、若あゆ1個250円。「御室和菓子いと達(たつ)」は、仁和寺や龍安寺などの名刹が点在する御室に2019年10月にオープンした和菓子店。閑静な住宅地にひっそりとのれんを掲げ、洋菓子店のようなおしゃれな空間の中で、四季折々の生菓子を揃え、焼菓子は気軽に手にとって選べるスタイルで販売しています。
雪平は「真っ白な餅」の意味を持ち、ふんわりと柔らかくほんのりとした甘みが特徴。販売は8月15日まで。6個入りの箱詰めがあり、発送も対応。おつかい物にも日常のおやつにもおすすめ。「若あゆ」は、お餅を焼き生地で包んであゆに見立てた和菓子ですが、こちらはかわいいリボンがチャームポイント。お餅は雪平(せっぺい)と呼ばれる、求肥(ぎゅうひ)に卵白を加えたふわふわの餅生地を用い、量もたっぷりです。外側の生地はパンケーキのような風味で、もち粉やココナッツオイルを加えてふんわりしっとり仕上げた定番菓子の「手合わせ三笠」の生地を使っています。
祇園祭を想い、無病息災を願う。
人気の「包み餅」も夏バージョンに
包み餅1個220円。桜と紅葉は白味噌きな粉餡、楓と雪中花は小豆こし餡。消費期限5日間。祇園祭の焼印を押した包み餅は7月末まで販売。看板菓子の「包み餅」も7月は夏バージョンで、祇園祭の鉾の焼き印入りになります。
生地は、3種類のもち粉を独自の比率で組み合わせたもちっとした食感。色がとても美しく、いずれも平安王朝の襲(かさね)の色目を基にした色彩です。微妙に色の異なる2枚の生地を重ねて餡を包み、ピンクが桜、緑色が楓、オレンジ色が紅葉、紫色が雪中花で、春夏秋冬を表しています。
餡は、小豆の香りを程よく感じる自家製のしゅまりこし餡と、白味噌きな粉餡の2種類があり、きな粉餡は北海道産の手芒豆を使った白餡に、北海道産の黒豆きな粉と京都の白味噌を加えたもの。どちらの餡も上品な甘みで、口の中ですっと溶けていきます。
老舗だけでなく、新しいお店でも魅力的な和菓子が揃う京都。ご主人の伊藤達也さんは京都の老舗で17年みっちり修業を積み、独立後は豊富な経験を生かしながら新しいお菓子に挑戦されています。
ブルーの壁が印象的なモダンな空間。お菓子は店内から見える厨房で調製している。京福電鉄の妙心寺駅から近く、仁和寺や龍安寺は徒歩圏内。御室和菓子 いと達
京都府京都市右京区龍安寺塔ノ下町5−17
電話 075-203-6243
営業時間 10時~18時
定休日 水曜・日曜
http://itotatsu.com※お菓子(生菓子を除く)は
http://www.tokusenkyoto.jpにて取り寄せ可能。
●「#京都」の記事一覧はこちら>>●「#和菓子」の記事一覧はこちら>> 西村晶子/Shoko Nishimura
関西を拠点に、京都の食や文化、人、旅を幅広く取材、編集。長年、『家庭画報』の京都企画を担当し、さまざまな記事を執筆。最近の書籍の仕事に『
旨し、うるわし、京都ぐらし』(大原千鶴著)がある。
表示価格はすべて税込みです。