MOOSIC LAB 2019準グランプリ受賞作の本作で、男優賞に輝いた笠松 将さん。纏う空気と佇まい、強い眼差しで際立った印象を残す。クランクイン前に監督と話して整理したこととは?
曲作りに行き詰まり、逃れるように団地へと引っ越したシンガーソングライターのソラはある日、押入れから大量のカセットテープを発見する。そこに吹き込まれていたのは、前の住人・トキオの心の声。カセットテープを通してトキオの思いに触れるにつれ、記憶と現実がソラの中で交錯し……。
井上康平監督の「この作品はSFなんです」という言葉を聞き、音楽監督を務めたミュージシャン・菅原慎一さんが「SFのFはFictionではなくFantasyだと思っている」というコメントを残した本作。リアルとファンタジー(空想・幻想)、しかもちょっぴり境目が曖昧。そんな世界に観る者をいざなう作品でトキオを演じたのは、「監督とは撮影に入る前にいろいろお話ししました。何が幻想で、何がホントで、みたいなものを」と言う笠松 将さん。
「台本は読んでいても、文字だけだとわからなくて。ここはホントに出会ってるんだよな、とか、“おかえり”“ただいま”……これは違うんだよね、とか、そういうところは整理させてもらいました。そこが面白いポイントでもあり、僕自身がわからないポイントでもあったので。キャラクターを作る上での話も、撮影に入る前にできていました」