『日曜日の夕刊』
重松 清 著/新潮文庫 710円気乗りしないまま、母親の勧めで父親とサマーキャンプに参加する少年(「サマーキャンプへようこそ」)。
自分たちを捨てて別の家庭をつくった父親を恨む妹と、最後に会いたいといわれ、ある決意をする姉(「寂しさ霜降り」)。
重松清さんの『日曜日の夕刊』は、さまざまな家族が登場する短編集。
わかっているけど認めたくない、口にしたくない自分のコンプレックスを受け入れる登場人物に向けられる著者の眼差し、その温かさが、どの短編からも滲む。
『花のベッドでひるねして』
よしもとばなな 著/幻冬舎文庫 460円わかめにくるまれて、海辺に捨てられていた幹。自分を拾ってくれた大平家の家族に愛されて育った彼女は、祖父の残したB&Bを継いで、穏やかな日々を過ごしていたが……。
欲しいものを引き寄せる力があった祖父の、“違うことはしない”という教え、啓示のような夢など、日々のなかで起きる小さな奇跡を物語に紡ぐよしもとばななさん。
『花のベッドでひるねして』は、タイトルが示唆するように優しく、幸せに生きることの大切さを読み手に伝える。
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『家庭画報』2020年8月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。