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マングローブに響く生き物たちの息吹【残したい日本の音風景・9月】文/細野晴臣

2020.07.30

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9月 西表島の後良川




文/細野晴臣

近くの竹富島からその雄姿をいつも見ていた西表島(いりおもてじま)だが、いつかは行ってみたい。先島諸島の中でも異質な険しさがあり、頂にはいつも雷雲が稲光を見せていて、見るからに秘境だと思わせる。


秘境には人を寄せ付けない不思議なバリアがあり、人間界のイザコザなどとは無縁だ。

しかし冒険好きの人は虜になるだろう。マングローブの生い繁る後良 川(しいらがわ)をカヌーで下るなんて夢のようだ。

マングローブは不思議な植物で、干潟に種子の鞘を落とし繁殖していく。

そこが干潟であることは、海に続いた河口が潮の干満によるリズムによって感知するという。まるで音楽だ。

島の環境音のレンジはとてつもなく広い。高周波を発する虫、低周波の風や海のうねりなど。

それでも静けさを感じるに違いない。中でも雨を降らす火の鳥ともいわれる「リュウキュウアカショウビン」のさえずりには心を癒される。


上のバナーをクリックすると、実際の音を聴くことができます。

細野晴臣(ほその・はるおみ)



音楽家

1947年東京生まれ。1969年「エイプリル・フール」でデビュー。1970年「はっぴいえんど」結成。73年ソロ活動を開始、同時に「ティン・パン・アレー」としても活動。78年「イエロー・マジック・オーケストラ(YMO)」を結成、歌謡界での楽曲提供を手掛けプロデューサー、レーベル主宰者としても活動。YMO散開後は、ワールドミュージック、アンビエント、エレクトロニカを探求、作曲・プロデュースなど多岐にわたり活動。
公式サイト www.hosonoharuomi.jp
出典・音響提供/環境省「残したい“日本の音風景100選”」 写真上/小早川 渉〈アフロ〉 写真下/西野嘉憲〈アフロ〉

※こちらの音は、公益社団法人日本騒音制御工学会ホームページ「日本の音風景100選/サウンドライブラリ」からも聴くことができます。

『家庭画報』2020年9月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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