治療目標は症状コントロール。日常を取り戻すことも可能に
“謎の膀胱炎”といわれる間質性膀胱炎。国内には約25万人の患者がいると推定されており、その9割を中高年女性が占めています。
この病気の原因は不明ですが、膀胱上皮(尿が接触する表面粘膜)の防御機構が失われ、膀胱粘膜の下にある間質に尿が染み込み、慢性的な炎症を引き起こすことがわかっています。
その結果、膀胱の筋肉が萎縮し、通常の半分以下の尿量しか溜められなくなり、何度もトイレに行きたくなる「頻尿」、急な尿意を催す「尿意切迫感」、排尿後に尿が出きっていない感じがする「残尿感」などの症状が出現し、排尿を我慢すると「膀胱痛」や「膀胱不快感」なども生じます。
内視鏡で正しく診断したうえで適切な治療とケアに取り組む
これらの症状は細菌性膀胱炎や過活動膀胱でもみられるため、症状だけで正確に診断することは難しく、確定診断には内視鏡検査が必須とされています。
しかし、泌尿器科の一般診療では内視鏡検査を行う時間的余裕がなく、確定診断に至っていない人が多いといわれます。
このような背景がある中、泌尿器科 上田クリニックには正しい診断を求めて全国各地から間質性膀胱炎に苦しむ患者が4000人以上訪れています。
「間質性膀胱炎の治療法は限られているものの、正しい診断がつけば対症療法によって症状をコントロールし日常生活を取り戻すことが可能です」と上田先生はいいます。
間質性膀胱炎で問題なのは頻尿や膀胱痛などの諸症状によってQOL(生活の質)が著しく低下することです。
しかし、症状が重いのに誘いを断りきれず無理をして出かけてしまう人が少なくありません。
「特に活動的で責任感が強く真面目な性格の女性にこの傾向がみられます。外出先ではトイレに行かなくてもいいように水分摂取を控えるため、尿が濃くなって膀胱を刺激し、痛みなどの症状がさらに悪化するという悪循環にも陥りやすくなります」。