動物たちと楽しく暮らす「犬+α」の豊かな生活 第4回(全10回) 動物たちの守護神・野村獣医科Vセンターの院長、野村潤一郎さんのもとに飼い主からこんな話が。犬の飼い主から「うちの子が私から離れず出かけることもできません」。猫の飼い主から「この子は私のことを本当に愛しているのでしょうか?」。つまり、犬の飼い主は犬らしさに疲れ気味で、猫の飼い主はペットに犬らしさを求めている、と野村先生。では、どうすれば? 犬+α、猫+αの動物ライフは「飼い主と動物たちの精神のバランスが取れた豊かな世界」と野村先生はいいます。動物一家の楽しい暮らしを紹介します。
前回の記事はこちら>> 動物一家の楽しい暮らし
異なる動物たちが一緒に暮らすペットライフは「ほのぼの」の連続です。飼い主さん本人が撮影した写真と共に、動物一家の楽しさを語っていただきました。
捨て犬も捨て猫も鳥も魚も爬虫類も!
動物大好き大動物家族
ある日、斉藤さんは一頭の黒い犬を連れ、野村獣医科Vセンターを訪れました。
斉藤家では2か月前に犬が死んだばかりで「3頭飼っていた犬が1頭になっちゃったね」と家族で話していたところ、奥多摩町の役場が迷い犬を保護し、もらい手を探しているという知らせが人伝てに入り、斉藤家は即刻飼うことを決定。引き取りに行った足で野村獣医科に犬を診てもらいに来ていたのでした。
斉藤 実(まこと)さん・久美子さん【家族構成】夫婦+三男+犬2頭(ラブラドール・レトリーバー、プロット・ハウンド)+猫5匹(ミックス)+鳥5羽(セグロコサイチョウ、コザクラインコ3羽、ヒメウズラ)+トカゲ9匹(グリーンイグアナほか)+カメ15匹(ケヅメリクガメほか)+魚1匹(プロトプテルス・エチオピクス)+いろいろ「人なつっこい犬だというし、もらうと決めても縁がない子は寸前で話がたち消えになることもあるので、斉藤家に来る動物は来るべくして来るというのが家族で感じていることなんです」と実さんが語ります。
その犬は“ドナ”と名づけられ斉藤家の一員に。目下、ラブラドール・レトリーバーの“ブリッツ”との関係を構築中。
アフリカヌマヨコクビガメとラブラドール・レトリーバーの“ブリッツ”斉藤家はすべての“家族構成”をとても書き切れない筋金入りの大動物家族です。5匹の猫たちも1匹を除き、成人した3人の息子たちと縁があって斉藤家に来た保護猫たち。ほかにも鳥や魚、カメや珍しいトカゲたちが一つ屋根の下に集っています。
「猫が鳥籠に飛びつくこともないし、たくさん動物がいますが普通の空気が流れていますね。犬を枕にして猫が寝ていたり、頭のいいセグロコサイチョウが自分の餌をつまんで床に投げるのを犬がクンクンして食べたりして『また犬をからかってんのか』なんてね」
セグロコサイチョウはアフリカ原産のサイチョウ実さんも妻の久美子さんも幼い頃から大の動物好き。「家では犬猫鳥以外は私の“趣味”と位置づけられています」と実さんはいいますが、久美子さんは「動物の大所帯には慣れているし、カメや爬虫類の餌やりはします。冷凍庫に冷凍マウスが入っていても大丈夫です(笑)」と余裕の様子。世話は家族全員でし、家族の話題ももっぱら動物たちのこと。
「猫が犬たちと仲よくしているのを見るとほんわかしますね。殺伐とした今の世の中で心が穏やかになるのはたしかですね」と実さん。
姉御肌の“スージー”動物たちと楽しく暮らすこと。それは楽しさと引き換えに命を預かる責任が生じるということでもあります。斉藤家が旅行に行ったのは2回だけ。
「妻にいわせると『犬や猫を置いて人間だけ楽しんでも全然楽しくない』と。たとえると1歳、2歳の子をうちにおいて自分だけ楽しむことはできないということでしょうね。旅行には子どもたちを連れて行けなかったけれど、その分動物たちと年がら年中触れ合って面白い発見の連続です」
〔特集〕動物たちと楽しく暮らす「犬+α」の豊かな生活(全10回)
監修/野村潤一郎(野村獣医科Vセンター院長) 構成・文/三宅 暁(編輯舎)
『家庭画報』2020年8月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。