振袖 鼠壁縮緬地波に千鳥裾模様(江戸~明治時代 19世紀/京都府 京都文化博物館管理)ここでわたくし、しばし立ち尽くしてしまいました。渋い鼠色のお振袖の裏にはこんなにも奥行きのある世界が! 八掛には裾に描かれている勢いのある波が続き、そしてその波は次第に千鳥になっているのです。
振袖 段替綸子地松竹梅鶴亀模様(江戸時代 19世紀/神奈川 女子美術大学美術館蔵)この振袖は五段の段替になっていて、上から松、鶴、竹、亀、梅とめでたづくしの柄が絞りで表現されています。何万粒の絞りでできているのでしょう!
さらに会場の奥へと進んでいくと、歴史上の人物が所有していたきものや調度品などが並んでいました。こちらは篤姫所有の豪華絢爛な小袖です。
小袖 萌黄紋縮緬地雪持竹雀模様 天璋院篤姫所用(江戸時代 19世紀/東京 德川記念財団蔵) 掛下帯 萌黄繻子地稲穂雀模様 天璋院篤姫所用(江戸時代 19世紀/東京 德川記念財団蔵/前期にて展示終了)また、織田信長や豊臣秀吉、徳川家康など戦国武将が実際に着用したと言われる衣類も展示されていました。織田信長の陣羽織から、強烈な個性の持ち主だったことを感じます。目の前に現れたら怖そうです……。
第4章には裕福な奥様方の訪問着やご令嬢の振袖が並びます。きものに帯や小物を合わせたトルソーが何体も並んでいて、とてもきらびやかな空間に。日本に洋装文化が入ってくると、洋風の柄や化学染料などが用いられるようになり、きものにも変化が。洋花、シャンデリア、(空想の)オランダの風景など、図柄に目を奪われました。
大正・昭和時代のコーディネート ご令嬢の振袖や奥様の訪問着・付下そして銘仙が登場します。とにかく柄も色使いも大胆で斬新。これは最先端ファッションに興味を持つ若い女性が惹きつけられたのもわかる気がいたします。
銘仙のコーディネート