ライバル選手たちからも羽生選手に励ましのメッセージが
試合後の記者会見ではどの選手からもまず、羽生選手への労りと励ましの言葉が聞かれました。平昌五輪でのライバルの一人と目されるアメリカのネイサン・チェン選手も羽生選手の欠場を知ってすぐにコメントを出していましたが、高みを目指し、練習に明け暮れる選手たちは常に怪我と背中合わせ。怪我をしてしまったときの悔しさ、焦る気持ちは選手同士が誰よりも分かっていることですよね。そして、いまのフィギュアスケート界における羽生選手の存在がいかに大きいか、改めて示された不在だったのだと思います。
アダム・リッポン選手(アメリカ)。今大会の主役の一人。柔軟性と高さのあるジャンプに軽やかなセクシーさも加わって、ここ数年間違いなく演技が格段に進化。ちなみにMOOK『氷上の奇跡』(世界文化社刊)で掲載した金髪クルクルヘアも好きです(笑)。合計261.99点、2位
また、3選手が熱く語っていたのは、羽生選手が欠場したにもかかわらず会場に足を運び、いい演技には分け隔てなく拍手を送っていた日本のフィギュアスケートファンの成熟度。優勝したセルゲイにいたっては「日本のパスポートを取りたいくらい(笑)」と語るほど、幸せな時間を過ごせたようです。日本人スケートファンとしてはちょっと誇らしい気持ちになりますよね。
その気分の良さが高じたのか(笑)、誕生日を会場の観客たちに祝ってもらったことへのお礼のつもりなのか、今回のエキシビションで珍しいシーンを目撃することができました。
なんと準優勝のアダムがリアーナの楽曲『Diamonds』を披露してくれたのです。最初は口パクかと思いましたが、気持ち良さそうに熱唱している姿を見て、本当に歌っているんだと……。ステファン・ランビエールコーチとデニス・バシリエフス選手(ラトビア)の仲良しシーンも今大会のお宝映像でしたが、アダムの生歌はこれからも語り継がれるエキシビションになると思います。