名画を巡る30日 200年近い歴史を誇るロンドン・ナショナル・ギャラリーが所蔵する、珠玉の名画61点が初来日しています。東京では10月18日まで、そして11月3日より大阪で開催される、世界で初めての「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」から、厳選した30枚の名画を、毎日ご紹介いたします。パリ在住の展覧会プロデューサー・今津京子さんに、知られざる名画の秘密を教えていただきましょう。
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ベラスケス 『マルタとマリアの家のキリスト』
ディエゴ・ベラスケス 《マルタとマリアの家のキリスト》1618年頃 油彩・カンヴァス ©The National Gallery, London. Bequeathed by Sir William H. Gregory, 1892スペイン美術の関係者の方々と話す機会があるたびに、彼らにとってベラスケスという作家は神様のような存在なのだと感じます。筆致の巧みさ、色の使い方、複雑に考え抜かれた構成。宮廷画家として多くの傑作を残し、同時代人からも尊敬されていたことは、本展に出品されている『ベラスケス礼賛』(ルカ・ジョルダーノ作)という作品からもわかります。
本日ご紹介する絵は、故郷のセビリアで制作された初期の作品で、前面と奥に2つの場面が描かれています。姉妹であるマルタとマリアの家を訪ねるキリストという宗教的な主題を庶民的な舞台で描いた、ボデゴン(厨房画)と呼ばれるスペイン特有の風俗画の一種。手前にいる女の子の、ふてくされたような一瞬の表情に迫真感があります。
今津京子/Kyoko Imazu
写真/小野祐次展覧会プロデューサー。パリをベースに、今回の「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」、「モネ展」(2015年)、「オルセー美術館展」(2014年)など、30数年にわたり数十の大型展覧会の企画に携わる。
日仏英の3か国語を操り、美術、ファッションなどの分野でジャーナリストとしても活動。音楽、演劇、料理、アンティークなどアール・ド・ヴィーヴルをこよなく愛する。
『ロンドン・ナショナル・ギャラリー展』
写真提供/読売新聞社約200年の歴史を誇るロンドン・ナショナル・ギャラリーが、初めて館外で大規模な所蔵作品展を開催。61作品すべてが初来日となる。英国とヨーロッパ大陸の交流という視点で、ルネサンスからポスト印象派までの西洋絵画史を辿る。
東京会場:国立西洋美術館~2020年10月18日(日)
月曜休館(8月10日、9月21日は開館)、9月23日休館
一般1700円
お問い合わせ:03(5777)8600(ハローダイヤル)
大阪会場:国立国際美術館2020年11月3日(火・祝)~2021年1月31日(日)
11月16日、11月24日、11月30日、12月14日、12月30日~1月2日、1月18日休館※休館日は変更になる場合があります
一般1700円
お問い合わせ:06(6447)4680(国立国際美術館代表)
※東京会場は日時指定制となります。国立西洋美術館では入場券の販売はありません。詳しい入館方法や最新情報は展覧会公式サイトでお確かめください。展覧会の詳細はこちら>>