【コロナと共存するための新・日常習慣】あらかじめ感染リスクを知って、正しく怖がる
〔お話ししてくれるのはこの方〕今井鉄平先生日本産業衛生学会 専門医・指導医
OHサポート代表取締役
産業医科大学医学部卒業後、大手企業の専属産業医勤務を経て、2018年中小企業向けの産業医サービス提供を行う会社を設立。医学博士、公衆衛生学修士(MPH)、経営学修士(MBA)。【今井鉄平先生が運営する、企業向け新型コロナウイルス対策情報の配信プロジェクト(https://www.tokyo-cci.or.jp/kenkokeiei-club/covid-19/)】新型コロナウイルスは3か月で日本中を駆け巡った
新型コロナウイルス感染症は短い期間で日本に、そして世界に広がりました。中国・武漢市での原因不明の肺炎が報告された2019年12月には、私たちの生活がここまで変わるとは誰も想像できなかったことでしょう。
厚生労働省が武漢市の肺炎に関して各自治体に向け注意喚起を促したのが2020年1月6日、その後、16日に国内で初めての感染例が報告されました。
2月には乗客が感染していることが確認されたクルーズ船が横浜に入港、3月2日からは全国の小中学校、高校が臨時休校に。
4月7日には7都府県に緊急事態宣言が発せられ、16日に全国に拡大されました。その間、「密閉・密集・密接の3密を避けよう」「不要不急の外出はしない」が合言葉になりました。
そして5月25日、緊急事態宣言が全面解除され、経済を回しながら、新型コロナウイルスとともに生活する時代が本格的に始まったのです。
今後の流行の見通し、また、私たちはどのように新型コロナウイルスと共存すればよいのか、産業衛生の専門医で、100社以上の中小企業の、新型コロナ対策のアドバイスを行っている今井鉄平先生に伺いました。
第1波はほぼ収束したが、集団免疫には程遠い
今井先生は「2020年1月以降の感染の広がりを第1波とすると、これはある程度収束しているといえます。気温が上がっていく時期にあたったのが幸いしたのかもしれません。クラスター(感染者の集団)を特定して対応していくという政府の方針、人々の外出自粛、マスク着用や手洗いなども効果があったと考えています」と話します。
ただし、緊急事態宣言解除以降も東京都内など各地で感染が発生しています。
6月に行われた厚労省の調査では、東京都ですら、新型コロナウイルスの抗体を持つ(=すでに感染した可能性が高い)人の割合は0.1パーセント程度という結果でした。
人口の少なくとも4割、通常6〜7割の人が感染すると、“集団免疫”の状態になり、ウイルスの拡散が収束するといわれていますが、それには程遠い状況です。つまり、「新型コロナウイルスは今後も感染が広がるということなのです」。