王侯貴族やセレブも愛した
メゾンのルーツ、旅行用トランク
ルイ・ヴィトンの原点は、旅行用のトランク。19世紀初頭に、創業者のルイ・ヴィトンは荷造り用木箱製造兼荷造り職人としてキャリアをスタートし、その後1854年に初めての店舗をパリに開いたのがメゾンのルーツ。
1859年、創業者ルイ・ヴィトンがアニエールに構えた最初のアトリエとヴィトン家の邸宅。併設のギャラリーは、限られた期間のみ予約制で見学することができます。今までにない斬新な発想で生み出されるトランクは、貴族たちの間で評判となり、世界の王室からも注文を受けるほどに。1886年には息子のジョルジュが5枚羽根を持つ錠前システムを採用し、特許を取得。1896年にはレザーより軽くて丈夫なモノグラム・キャンバスが誕生し、現在に至るまで進化し続けています。
モノグラム・キャンバスを木枠に貼り伸ばし、接着させる工程。木箱の製作から鋲の打ち込みまで、一つひとつすべてが職人の手仕事で作られています。ルイ・ヴィトンのトラベルバッグと聞いてパッと思い浮かぶのは、私の場合、映画です。オードリー・ヘプバーン主演の『昼下りの情事』に出てきた、パリのホテル リッツの廊下に無造作に並べられた何個ものトランクがあまりに格好よく、「全部ルイ・ヴィトンで揃っているのって素敵!」と憧れたのを覚えています。
そんな記憶も手伝いつつ、トロリーと上にのせるバッグがお揃いだとスタイリッシュに見えるという理由もあり、30~40代にかけて、仕事でパリに行くたびに、ルイ・ヴィトンのトラベルバッグを揃えていったのです。
卓越した実用性とオリジナリティ。
買い足していけるのも楽しみ
「スタイリストバッグ」として「7つ道具」を入れ、どの現場にも持ち歩いているモノグラム柄のトロリーを筆頭に、今ではさまざまなタイプのバッグを持っています。実際に何個持っているか数えたことはありませんが(笑)、昔買ったものも、ファスナーを取り換えるなどのメンテナンスをしつつ、ずっと愛用しています。
パリで購入し、そのまま荷物を詰めて持ち帰ってきたというトラベルバッグ。「片側が服を掛けられるガーメントになっていて、さらにたくさん入るので長期間の出張や旅でも重宝しています。こういう使い手の気持ちを考えたデザインのバッグが、ルイ・ヴィトンの真骨頂だと思います。鍵付きだから、飛行機で預けられるのも便利」。すべておおさわさん私物。家紋などの日本文化の影響を受けたとも言われるモノグラム・キャンバスは、買い足していけるのがいいところ。カジュアル感があるので、同じ柄で統一されていても嫌みにならず、クラス感があるのも気に入っています。
実用性という点でもずばぬけていて、「こんなものがあったらいいな」と思えるデザインが見つかるのもルイ・ヴィトンならではだと思います。
こちらの2つもパリで購入。マチ幅が薄めの左のボストンは、1泊2日程度の出張や、週末旅行などに活躍。「ショルダーバッグは肩掛けにできるから、両手が使えるのがポイント」。右のモノグラム ヴェルニは、パープルが珍しくて衝動買いしたそう。すべておおさわさん私物。実は20年くらい前に、キモノを収納できるくらい横長サイズの珍しいガーメントタイプのバッグを持っていたのですが、仕事中に車上荒らしに遭い、盗まれてしまったのが今でも残念でなりません……。
やはり、シーズンによって変わっていくバッグも多いので、レアなデザインを見つけたら、迷わず買っておくといいと思います。次回は、私のおすすめの新作トラベルバッグをご紹介させていただきますね。
・
第18回 人気スタイリストの結論。これからの旅はルイ・ヴィトンとともに>>
●お問い合わせ
ルイ・ヴィトン クライアントサービス
フリーダイヤル 0120-00-1854
URL:
https://jp.louisvuitton.com/
おおさわ千春/Chiharu Osawa
スタイリスト。
雑誌のほか、映画の衣装デザインや女優のスタイリングなどを幅広く手掛ける。着る人に合わせた的確なスタイリングやアドバイスは、多くの女優からも信頼を得ている。
〔迷い世代の服選び〕 40代にこそ効く「ブランド力」
撮影/大見謝 星斗 編集協力/湯澤実和子